
ボードゲームというと、「オセロ」や「人生ゲーム」などテーブルゲームを思い浮かべる人も多いのでは。いま雑貨店の同コーナーには、「マジで草。」「ナンジャモンジャ」といったユニークなタイトルのカードタイプのボードゲームが多数並んでいます。多世代が参加するイベントも増えているよう。ボードゲームに関わる新たな動きが出てきています。
言葉で遊んだり戦略を練ったり、
勝ち負けを競うだけではないものが増加
「最近のボードゲームは多様化しています」と教えてくれたのは、立命館大学 衣笠総合研究機構 客員協力研究員(ゲーム研究センター関連活動)のシン ジュヒョンさん。対戦したり、複数人でゴールの早さを競ったりするだけではない、脳トレ効果のある″考えること”自体を楽しむようなゲームが増えているといいます。
「ワードゲームと呼ばれる、単語を使って文章を作ったりするものは語彙(ごい)力や表現力の向上に、戦略を練って陣地を取りに行くようなものは論理的な思考力の育成に役立ちます。そのほか、空間認識能力が高められたり、テーマに沿った知識が身に付けられるようなゲームも」
社会的な課題を題材にしているような内容も多数。
「教育や社会問題の解決に遊びの要素を入れたものは、シリアスゲームと呼ばれています。ゲームを通して真面目なテーマを楽しく学べる機会になります」
いずれも共通しているのは、「プレイ中に話すことが多く、コミュニケーション能力が磨かれる」ことだとか。
遊び方としては「全員で何かを成し遂げるという、プレイヤー協力型の人気が高まっています」

教えてくれたのは
立命館大学 衣笠総合研究機構 客員協力研究員(ゲーム研究センター関連活動)
大阪電気通信大学 デジタルゲーム学科 ゲーム・社会デザイン専攻 准教授
シン ジュヒョンさん

図書館や自治会館などで
イベントが開催されています
京都市中央図書館、西京図書館、醍醐図書館、醍醐中央図書館など、京都市内の各図書館では「ボードゲーム会」が実施されています。醍醐図書館では8月に初めて開催。
「推理ゲームなど10種類以上を用意。家族での参加のほか、1人で来られた方もいて、多世代の交流ができました。好評のため11月1日(日)には第2回を開催予定です」(担当者)

京都市東山区で昨年から年に2、3回開催されているのが「大学生とボードゲームで遊ぶ会」。東山区総合庁舎や各学区の自治会館などを会場に、民生児童委員会が行なっています。参加者は学区在住の人が対象とか。
「小学生くらいの子どもから70代の方まで参加され、毎回盛況です」と、東山区役所健康長寿推進課の担当者。
「ゲームは気軽に遊べるものから頭をひねるようなものまで、多世代が楽しめるものを用意します。地域の大学生たちがルールを教えてくれますから、初心者の方でも楽しんでいらっしゃいますよ」


「ハンズ 京都店」4階の一角にあるボードゲームコーナー。
「最近は、若い方や家族連れが購入されることが多いです」とは、同店グループマネージャーの新家章さん。「人気はカードゲーム」と言います。
「フロアでゲリラ的に体験会をすることもあり、スタッフとお客さまで盛り上がるんですよ」
同店で人気のカードゲームを、新家さんの解説とともに紹介します。1面のシン ジュヒョンさんの話にもあった、語彙力を高めたり、知識が身に付いたり、といった効果も期待できそう。
「ゲームタイトル」
①値段 ②プレイ人数 ③プレイ時間 ④対象年齢 ⑤販売元


初めて聞く名前も
正確に覚えましょう
12種類の謎の生き物〝ナンジャモンジャ〟が描かれたカードを使います。順番にめくっていき、種類ごとに名前をつけて、横に積んでいきます。名前を付けたナンジャモンジャが出てきたら、その名前を一番早く正しく叫んだ人が、横に積まれたカードを全てもらえます。中央のカードの山がなくなった時、手持ちが一番多い人が勝ち。「『自分がつけた名前を思い出せない…』なんてことも。名付けのセンスと、記憶力が試されます」(新家さん)
「ナンジャモンジャ・ミドリ」
①1540円②2〜6人③約15分④4歳以上
⑤すごろくや
頭をやわらかくして
ユニークな言葉に
ひらがな一文字が書かれたカードがプレーヤーに5枚ずつ配られます。2回までカード交換も可。手持ちのカードを並び替えて一番面白い言葉をつくった人が勝ちに。頭をやわらかく、いかにユニークな言葉にするか、語彙力とひらめきが勝負を左右します。〝一番〟は、みんなで決めます。
「ひらがなポーカー」
①1540円②2~4人③約15分④6歳以上
⑤Gakken



グッとくるフレーズを創造します
「僕は」「ナイト」などの言葉が書かれたカードが計12枚配られます。それらを組み合わせてプロポーズの言葉をつくります。〝親〟となる人が一番グッときたフレーズをつくったプレイヤーが勝ち。「僕は君だけのナイトになりたいのさ」など、セリフとして声に出すので、言葉のチョイスだけではなく、表現力も重要に。「一瞬のひらめきで相手をメロメロにさせた人が勝つ、大人向けのゲームです」
「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」
①3463円②3〜6人③約15〜30分④13歳以上⑤クラグラ
テーマを設けて話し合い、
メンバーの数字を推測
1~100のいずれかの数字が書かれたカードを1人1枚持ちます。数字は自分だけの秘密。言わずに、数字の小さい順に皆が持っているカードを出せたら成功という、協力型のゲーム。ポイントは、テーマに沿って数字をイメージすること。たとえば、「強い生き物」というテーマなら、80を持っている人は「ゾウ」と言い、30の人は「サルかな」など、ほかのメンバーの数字を推測するのです。「テーマによって、お互いの価値観が分かり、コミュニケーションが深まります」
「ito(イト)」
①2200円②2~10人③約30分④8歳以上⑤Arclight Games



中華料理名を
素早く完成させたら勝ち
「チャー」「シュー」「メン」! 「チャー」「ハン」などと書かれた手持ちのカードを1人が中央の箱に出すたび、続く言葉を自分のカードで出して、中華料理名を完成させます。いち早く手持ちが無くなった人が勝ち。「1枚ずつ叫びながらカードを出すので、賑やかに楽しめます。瞬発力が鍛えられそう」
「音速飯店」
①1650円②2〜6人③約15分④6歳以上⑤すごろくや
よく似た葉物野菜を見定めて
ホウレン草、小松菜など見た目がよく似た10種の葉物野菜が描かれたカードを、神経衰弱のルールで集めるゲーム。ただし、カードが合った時は、植物の名前を正しく答えないともらえません。「認識力と記憶力が必要なゲーム。1人でも気軽に遊べますよ」。カードには、野菜の原産地やおすすめの料理といった雑学も記載されています。
「マジで草。」
①1500円②1〜5人③約7分④3歳以上⑤MONT


火災の疑似体験で備えに役立てて

アマチュアが手掛けるボードゲームを表彰する「Board Game Japan カップ」。今年開催の第4回のコンテストで大賞を受賞したのが、宇治市の「西村防災設備」が製作した「もしかじ~火災体験ボードゲーム~」です。
火事が起きた家から、脱出できた人数や持ち出せた宝物の数を競うゲーム。消火器などなんの備えもない中、脱出しようとするも、あっという間に火は燃え広がり家から出られず…。次は、消火器など備えのアイテムがある状態でプレイ。備えがある場合とない場合の違いを、ゲームを楽しみながら実感できます。
「仕事で消火器など消防設備の設置や点検をしている私も、かつて自宅の火事の備えは十分ではありませんでした」と同社取締役の西村太希さん。「でも子どもが生まれて、大切なものを守るには備えが大事だと。その大切さ、火事の怖さを、ボードゲームにすることで身近に感じて知ってもらいたい。『もしかじ』を使って、学校や企業などで啓発活動の一環として授業や研修もしています。備えるための初めの一歩になれば」

(2026年9月12日号より)
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