介護の相談、どこにする?

2026年7月24日 

リビング編集部

初めて家族の介護に直面すると、わからないことが多くて悩みを抱えてしまうことが。そんなときに頼れるのが、地域の相談窓口です。知っておくと、いざというときの心強い味方になりますよ。

イラスト/オカモトチアキ

高齢者の生活全般に対応する「地域包括支援センター」へ

介護の相談窓口としてよく挙げられるのが「地域包括支援センター」。一体どんな場所なのでしょうか。

「行政から運営を委託された、公的な相談窓口です。介護、福祉、医療の面から総合的に高齢者の暮らしをサポートしています」

そう話すのは、「紫竹地域包括支援センター」のセンター長・小林舞見(まいみ)さんです。地域包括支援センターは京都府内に137カ所、京都市だけでも61カ所あるのだとか。

「悩みを抱える人に対して解決策の提案や、負担を軽減するための制度・サービスの紹介、手続きの補助を行っています」

話すことが状況整理や問題解決の糸口に

地域包括支援センターは、管轄エリアに住む高齢者の支援を行っています。相談は、高齢者本人だけではなく家族からも受け付けています。紫竹エリアの場合、2025年度は470件の新規相談のうち、106件が家族からだったといいます。

「『親の足腰が弱くなり、買い物や病院の付き添いが大変』といった具体的な悩みから、介護にまつわる漠然とした不安まで、なんでも話して」と小林さん。「相談者の多くは、不安の中、勇気を出して来られます。うまく言葉にできなくても大丈夫。困っていること、知りたいことをそのまま伝えていただけたら。話すことで状況が整理できたり、解決の糸口が見つかることもありますよ」

相談は無料。予約は不要ですが、来所の際は事前に電話をしておくのがおすすめだとか。電話相談、匿名の相談も可能です。

「今すぐの介護は必要ないけれど、将来が不安」という場合は、〝介護予防〟のサポートもあります。

「親御さんができるだけ長く自立した生活を送れるよう、健康管理にまつわる情報をお伝えします」

紫竹地域包括支援センターの相談スペース。個室もあり、プライバシーに配慮した場で相談ができます
  • 高齢者の生活にまつわる相談対応
  • 介護保険制度の説明、介護保険サービスの紹介、代行手続き
  • 自治体独自の福祉サービスの案内
  • 医療機関、福祉施設など専門機関の案内、連携
  • ケアマネジャーの紹介
  • 認知症カフェ、家族会など当事者同士の集いの場の案内
  • 成年後見制度の紹介など資産管理のサポート
  • 高齢者虐待、高齢者の買い物トラブルの相談

など

※ブランチ(地域包括支援センターと連携した相談窓口)など含む

要介護者と別居している場合は、対象者の居住エリアにあるセンターへ相談を

悩みによって適切な専門機関が変わります

介護の悩みは、要介護者の心身の状態や環境、家族の事情などによって人それぞれ。抱える問題も、家庭ごとに異なりますね。

地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーなど専門職員が在籍。それぞれの知識と経験を生かして対応してくれます。例えば、社会福祉士は高齢者虐待や金銭管理などの権利擁護、認知症に関する相談が専門分野。保健師は医療ケアなど病院との連携、介護予防に詳しいのだとか。必要に応じて、より専門的な機関へつないでもらえることもあります。

同センターの社会福祉士・浪江恵さん、保健師・中村直美さんに、よくある相談例をもとに、考えられる連携先を教えてもらいました。

相談例1

〈家族構成〉
・妻(相談者・77歳)
・夫(要介護者・80歳)

悩み

夫が転倒して骨折し、入院中。1人で歩くのが難しく、退院後は介護が必要になりそう。相談者である妻も高齢で、身体介助をするには負担が大きく、どうすればいいかわかりません

回答

「退院後に介護が予想される場合は、要介護者を支える仕組みを入院期間中に作ることが大切。病院には『地域連携室』やそれに準ずる部署があり、医療ソーシャルワーカーが在籍しています。こちらに相談することで、退院後にスムーズに医療ケアや介護が受けられるよう、地域の病院や福祉施設などの専門機関につないでもらえます。地域包括支援センターでは、病院と連携しながら在宅介護に必要な環境を整えるための手続き、ケアマネジャーの手配などをサポートします。介護保険サービスの利用申請は、市区町村の介護保険窓口や、地域包括センターで受け付けています」(中村さん)

相談例2

〈家族構成〉
・息子(相談者・57歳)
・妻(55歳)
・母(79歳)

悩み

同居する母は、迷子になったり物忘れが増えたりと認知症の疑いが。思い込みも激しく、口論が増えてストレスを抱えています。息子夫婦は共働きで日中の見守りができず、困っています

回答

「まずは『かかりつけ医』の有無やご本人の状態を確認します。かかりつけ医がない場合、地域包括支援センターから認知症の診察・診療が可能な医療機関を紹介することも可能です。各自治体に設置されている『認知症初期集中支援チーム』も頼りに。認知症の早期発見・対応のためのサポートを行っており、家庭訪問などを経て、必要な制度やサービスを提案してくれます」(浪江さん)

相談例3

〈家族構成〉
・娘(相談者・55歳)
・弟(52歳)
・母(83歳)

悩み

高齢の母は地元で一人暮らし。相談者である娘は帰省するたびに母の老いを実感して介護の心配をしていますが、本人は「まだ元気」の一点張り。弟も遠方に住んでおり、見守りは厳しい状況です。何かできることはないかと気をもんでいます

回答

「京都市では、地域包括支援センターの職員による1人暮らし世帯を対象にした訪問事業や、〝老人福祉員〟による安否確認など、独自の取り組みが行われています。他エリアも共通の対応として、日ごろの見守りは地域の高齢者の支援を行う『民生委員』と連携します。また、『社会福祉協議会』では、介護予防につながる取り組みや、高齢者向けの福祉サービスの利用について相談ができますよ」(中村さん)

一人で抱え込まずチームで介護に取り組んで

悩みの中には、さまざまな問題が絡み合い、複数の専門機関と連携が必要なケースも。

「各窓口とのやり取りを家族だけで行うのは大変です。その際は、地域包括支援センター経由で調整を行います。チームを組んで取り組むことで、負担が軽減できることもありますよ」と小林さん。

一人で悩みを抱えないよう、地域包括支援センターを上手に活用したいですね。

教えてくれたのは

紫竹地域包括支援センター
センター長 小林舞見さん(中央)
社会福祉士 浪江恵さん(左)
保健師 中村直美さん(右)

(2026年7月25日号より)