語彙力を高めるには

2026年7月10日 

リビング編集部

「やばい」「すごい」。こうした一言で、さまざまな感情を表現する人を見かけたことはありませんか。自分もつい、ということもあるかもしれませんね。これ、語彙(ごい)力が下がっているからかも。語彙力があることのメリットを知り、自分の〝言葉の引き出し〟の中をどんどん満たしましょう。

撮影/二階堂直敬ほか

「言葉をたくさん知っているだけではなく、それらを適切に使える力。それが語彙力です」と教えてくれたのは、京都文教大学こども教育学部こども教育学科准教授の鵜飼洋子さん。

「近ごろ、子どもの語彙力が低下していると言われています。その要因には、読書離れのほか、SNSの普及も考えられそうです。仲間うちなら簡単なフレーズや短い文章でも伝わるため、使用する言葉の幅が広がりにくいんです」

文化庁が2024年度、16歳以上に行った「国語に関する世論調査」からも語彙力とSNSの関係性が見て取れます。SNSの普及による、社会における文字や語句、言葉の使い方に影響があると思うかを尋ねた問いに、「ある」と答えた人は全体の約9割(有効回答数3498人)にのぼりました。

「どのような影響があると思うかという質問への回答は、文字や語句は『略語が増える』、言葉の使い方は『短い言葉でのやり取りが増える』がそれぞれ最多。SNSは便利な反面、簡素な言葉のやり取りになると実感している人が多いのですね」

働いたり生活したりする中でも語彙力は重要です。

「経済産業省が発表している『社会人基礎力』の一つに、〝発信力〟があります」と鵜飼さん。ここでは、発信力を自分の意見を分かりやすく伝える力と定義されています。言葉をたくさん知っていること、それを状況に応じて使えることで相手に合わせた伝え方をチョイスすることも可能に。語彙力を高めることで、コミュニケーションもスムーズになるといえそうです。

「さまざまな年齢、職種の人と関わることで新しい言葉と使い方を知る機会も増えます。そのためにも人と関わり、言葉を学び続けたいですね」

鵜飼さんに聞いた、子どもの語彙力を高める方法を紹介。読者親子に実践してもらいましたよ。

語彙力をアップさせる方法の一つは、〝言い換え〟のバリエーションを豊かにすること。「類義語や似た表現を調べる癖を付けるといいですね。国語辞典、漢和辞典、ことわざ辞典など、いろいろな調べ方を知っていることで触れる言葉も増えると思います。手軽に、インターネットで調べるのもおすすめです」(鵜飼さん)

編集部が出題

語彙力を高めるため、編集部が問題を作成しました。下記の言葉と文章の意味を大きく変えずに言い換えてみましょう。正解は一つではないので、自由に考えてみて!

例/蒸し暑い → 肌にべとつく暑さ
●爽やか → (     )
●美しい → (     )

例/この小説はおもしろい →この小説は痛快で、ページをめくる手がとまらない
●掃除をしてきれいになった → (     )
●この荷物を持ってほしい → (     )

鵜飼さんが子どもの語彙力を高めるために二つの方法を教えてくれました。

「言葉を学んだから使い方が分かることもあると思いますが、使うことで言葉を獲得していくこともありますよね。相手に伝えるにはどう表現すれば良いか、単純に『面白い』だけではなく、どう面白かったか、ほかの表現はできないか。考えて言葉を引き出すことが大切です」

実践してくれたのは読者の小畑景子さんと小学1年生のみゆちゃん、4歳のゆうとくん親子。いざ、チャレンジ!

まずは、絵本を使った方法から。

「通常の絵本の読み聞かせは聞き手の子どもが受け身に。この方法では絵本を読みつつ『何が描かれている?』などと問いかけます。文字に書かれていないことも、絵をもとに子どもにたくさん話してもらいましょう」(鵜飼さん)

用意した絵本は、10階ごとにさまざまな動物が出てくる「ちか100かいだてのいえ」(いわいとしお著、偕成社)。絵本に目を輝かせた子どもたちは、冒頭から「迷路みたいになってる!」「ウサギさん、いっぱいいるね」としゃべり出します。小畑さんが「ここは和風のおうちだね」と声をかけると、「古いおうちだ」「住んでいるミミズが絵の具でお絵かきしてる」と2人。

小畑さんは「絵本は家でも読んでいるので、これからもやってみます」と話してくれました。

「赤ちゃんもハリネズミやから、抱っこするとチクチクするね」とみゆちゃん。ゆうとくんも「ハリネズミがトゲトゲの虫食べてるで」と、カラフルで楽しい絵を見てさまざまな言葉が出てきます
  • 絵本の文字を読むだけではなく、絵から言葉を引き出す
  • 絵がたくさんある本がおすすめ
そのときの気持ちを話しながら絵を描く2人

二つ目は、子どもたちに絵を描いてもらう方法です。

鵜飼さんによると「発見したことや面白いと思ったことを描いてもらって、何を見つけたのか何が面白かったのか話してもらいます。その言葉を文字にして大人が絵に添える。話すことで表現力が身に付き、自分の言葉が書かれた文字への興味も湧きます」とのこと。

みゆちゃんが描いたのは学校でうんていをしたこと。「お友達とうんていをやってるの、楽しかったよ。飛んでいたモンシロチョウも描く」と、そのときの感情や情景を絵とともに口にしました。ゆうとくんは家族みんなで食べたシュークリームの絵を描くことに。「中はクリーム色。ふわふわでおいしかった。だいすき、また買ってほしい」と気持ちを言葉で伝えてくれました。

右がみゆちゃんが描いた絵。左下に小畑さんが書いた文字が入っています。左のゆうとくんの絵は中央にシュークリームが。小畑さんは左上と右下の2カ所に文字を書きました
  • 体験したことを絵に描いて、その絵について説明したり、気持ちなどを話したりする
  • 話した言葉は大人が文字にして絵に添える。文字が書ける場合は自分で書いても

使ったことのない言葉を記入したリストを作成。「使えたときにチェックすると達成感が得られますね」(鵜飼さん)。本を読んだり、テレビを見たりしているときに知らない言葉に出会ったらメモしておくのも良さそう。あとでまとめてリスト作りを。小さい子どもの場合、大人が手伝ってあげましょう。

知っている言葉の量で勝負が決まる、しりとり。「2文字の言葉だけでなど、徐々に難易度を上げるのもおすすめです」。自分が知らない言葉を相手が言ったら、しっかり記憶を。新しい言葉に触れる機会になりますね。

教えてくれたのは

京都文教大学
こども教育学部
こども教育学科准教授
鵜飼洋子さん

(2026年7月11日号より)