
企業や生産者の要望をかなえるため、大学生が商品作りに奮闘! 2大学の取り組みを紹介します。さらに、企業とタッグを組んで、思いを形にした大学生、高校生、中学生の活動も。さまざまな〝学び〟がありました。
撮影/深村英司ほか
京都産業大学
SNSで目を引くブルーが主役のケーキ
星を散りばめ、〝京産らしさ〟も演出


夜空に星がキラキラ。ロマンチックな見た目のグラスケーキには食べた後にも楽しみがあって…。
こちらは、2026年7月に洋菓子店「バイカル」で販売されるケーキ。考案者は京都産業大学3年生の金田結衣さんです。きっかけは同店社長・岩井一路(かずみち)さんの「若い人にもっとケーキを楽しんでほしい」という一言でした。この言葉を聞いた同大学の教授・大西辰彦さんがゼミ生にケーキを考えてもらおうと提案。昨年10月に企画がスタートしました。
食べ終わってからも 楽しめる占い付き
そして11月。アイデア発表会では37人のゼミ生がチームごとにプレゼンテーション。その中で、同店グランシェフ・竹田嘉信さんの目に留まったのが金田さん発案の「星占い付きケーキ」でした。

金田さんがこだわった点は?
「若い人がターゲットということで、〝写真映え〟を意識。SNSで目を引くように、ケーキには珍しい青を主役にしました」
ちょっとした仕掛けもプラスしたそう。
「カップの底に占いを貼っています。ヒントは友人のお弁当に入っていた占い付きの冷凍グラタン。それがずっとうらやましくて(笑)」
占いといえば星占いというイメージから、青は夜空に。星も散りばめました。
「大学カラーが青色、学章が星座ということもあり、〝京産らしさ〟も出せたと思います」
竹田さんによって商品化されたケーキの見た目はほぼ金田さんの案の通り。青い部分はゼリーで、バタフライピーというハーブで着色されています。
「写真映えに詳しい世代だからこそ生まれたケーキですね」と竹田さん。食べ終わった後の楽しみまで考えられていることに、わくわくしたそう。
商品名は〝星の世界〟という意味が込められた「ステラリウム」。2026年7月1日(水)~7日(火)にバイカル下鴨本店、金閣寺店、京都ポルタ店で販売。
2026/4/25・26に販売されました
開建高校
おにぎり開発で、食べる人の
立場になることの大切さを実感
「親子丼おにぎり」に「きつね丼おにぎり」「十六穀米おにぎり」。これらを考案・販売したのは開建高校(南区)の2年生(当時)たち。昨年、学内で開催されたおにぎりのコンテストに出品したもので、審査員の「三彩食品」の谷本祐輝さんが商品化を提案したそう。

販売に向けたブラッシュアップの中で苦労したのは、〝売れる商品〟にすることでした。「たっぷりの具材を真ん中に。そうしたかったんですが、食べると崩れてしまって」と生徒の浦谷望音(もね)さん。食べる人の立場になることが大切と気付き、具材をご飯に混ぜる方法を採用。価格やパッケージ決め、店頭販売も自分たちで行いました。「プレゼンも何度もしたので精神的に強くなった気がします」(昌原圭汰朗さん)

龍谷大学
イメージがガラリ!
香り高いぶどうサンショウを韓国料理のスープに

2018年、地域課題に取り組む龍谷大学の教授・藤岡章子さんのゼミが受けた、ある依頼。〝ぶどうサンショウ〟の魅力を広めてほしいという和歌山県有田川町からのものでした。同町で多く栽培されているサンショウの品種で、かんきつ類のようなさわやかな香りが特徴だとか。
この依頼を機に編成された7人のチームが魅力発信のために考えたのは、ぶどうサンショウを使った商品の開発。生産農家の「篠畑農園」、スパイス製造を手掛ける「カネカサンスパイス」(大阪市)の協力を得て、スタートを切りました。

サンショウの量は0.1g単位で調整
まずはターゲット決め。「私たち自身、サンショウには〝大人が好むもの〟〝ウナギにかけるもの〟というイメージがあったので、そこは変えたいなと」とは4年生の百武来美(ももたけくるみ)さん。「対象は、発信力の高さを考慮して20〜30代の女性に絞りました」と同じく4年生の吉田光輝(こうき)さん。
商品の候補には、フォーやアヒージョも挙がっていたそうですが。
「最終的に決まったのは、『コムタンスープ』。ターゲット層に人気の韓国料理です」(百武さん)
コスト面、持ち運びの手軽さ、アレンジのしやすさから液状ではなく粉末に。お湯で溶いて飲むスープです。
学生たちは篠畑農園で収穫をしたり、カネカサンスパイスで調合に参加したりと、体験しながら商品を作り上げたそう。
「調合では、0.1g単位でサンショウの量を調整。『風味をもっと感じたい』『苦手な人も飲みやすい量で』と意見が割れることもありましたが、ぶどうサンショウの香りを感じられる味を追求しました」(百武さん)
こうして出来上がったのが「ぶどう山椒香るコムタンスープ」。ゴマだけを加えたシンプルなスープです。
すすめられ、記者も一口飲んでみました。コクのある味わいを感じた直後に、サンショウの香りがふわっ。辛味もありますが、しびれるほどではありません。ご飯を入れてもおいしそう! シンプルなので、いろいろなアレンジができそうです。
「ぶどう山椒香るコムタンスープ」は篠畑農園オンラインショップなどで販売中。


2026/5/6まで配布されました
京都芸術大学
テーマを深く知ることで完成した
自作イラストのランチョンマット
2026/3/26~5/6、京都府内にある9店舗の生麺専門店「鎌倉パスタ」でランチョンマットが配布されました。右側には、同店スタッフを描いたイラストが。京都芸術大学2年生の鈴木日陽(ひより)さんが制作しました。
昨年、同店を運営する「サンマルクホールディングス」と同大学の産学連携プロジェクトの一環で、学生からイラストを募集。テーマは同社の企業理念「最高のひととき」。多くの応募の中から選ばれたのが鈴木さんの作品でした。「優しさを感じるデザイン。食事と一緒に楽しんでもらいたいと採用しました」と同社の飯田ひかるさん。
イラスト制作にあたっては、店舗に足を運び、制服や料理、スタッフの様子まで細かく観察したといいます。

「私がお店に持っている〝温かい雰囲気〟と企業理念を組み合わせることが難しかったです。求められていることを考え、理解する。そうした過程の大切さを改めて知りました」

2026/4/17〜26に店頭に
西宇治中学校
〝買う側〟だけなら気付かなかった
お菓子のパッケージデザインの難しさ
西宇治中学校3年生全員、106人が美術の授業でお菓子のパッケージデザイン作りにチャレンジ。しかも、店で実際に販売されているお菓子です。2024年9月、宇治市にある「パティスリーyuji」のシェフ・長谷川裕次さんと連携して始まりました。
まず、生徒は希望のお菓子を試食。味からインスピレーションを得て、デザインを仕上げていきました。完成したのは48種類。「チョコテリーヌ」のデザインをした笠本侑那(ゆな)さん(下記写真左から2人目)と中村奏愛(かなえ)さん(下記写真左端)は、試食をした時に塩を感じたことから、その塩のイメージを「星で表現したらかわいいかも」という気持ちを込めたそう。マカロンを担当した冨永萌衣(めい)さん(下記写真中央)は「作る側になって初めて、いかに見やすさが大事かを知ることができました。見ただけで、味の想像をしてもらえることも大切。〝買う側〟だけでは気付かなかった難しさです」

長谷川さんは、「絵が苦手な子もいたと思いますが、グループで協力しながら頑張ったことに感動しました」と話してくれました。

(2026年6月27日号より)
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