大学生が商品作りで企業・生産者をアシスト

2026年6月26日 

リビング編集部

企業や生産者の要望をかなえるため、大学生が商品作りに奮闘! 2大学の取り組みを紹介します。さらに、企業とタッグを組んで、思いを形にした大学生、高校生、中学生の活動も。さまざまな〝学び〟がありました。

撮影/深村英司ほか

京都産業大学

ケーキをデザインした金田結衣さん(右)。「占いは全部で6種類です」。同じゼミの竹本陽菜(はるな)さん(左)はイチゴジャムを使った「恋縁ハートパイ」というケーキのアイデアを出したそう
青いゼリーの下にはヨーグルトムース、マンゴーカスタードムースが入っています 写真提供/バイカル

夜空に星がキラキラ。ロマンチックな見た目のグラスケーキには食べた後にも楽しみがあって…。

こちらは、2026年7月に洋菓子店「バイカル」で販売されるケーキ。考案者は京都産業大学3年生の金田結衣さんです。きっかけは同店社長・岩井一路(かずみち)さんの「若い人にもっとケーキを楽しんでほしい」という一言でした。この言葉を聞いた同大学の教授・大西辰彦さんがゼミ生にケーキを考えてもらおうと提案。昨年10月に企画がスタートしました。

食べ終わってからも 楽しめる占い付き

そして11月。アイデア発表会では37人のゼミ生がチームごとにプレゼンテーション。その中で、同店グランシェフ・竹田嘉信さんの目に留まったのが金田さん発案の「星占い付きケーキ」でした。

「バイカル」の竹田さん。「学生の自由な発想はどれも面白くて刺激になりました」

金田さんがこだわった点は?

「若い人がターゲットということで、〝写真映え〟を意識。SNSで目を引くように、ケーキには珍しい青を主役にしました」

ちょっとした仕掛けもプラスしたそう。

「カップの底に占いを貼っています。ヒントは友人のお弁当に入っていた占い付きの冷凍グラタン。それがずっとうらやましくて(笑)」

占いといえば星占いというイメージから、青は夜空に。星も散りばめました。

「大学カラーが青色、学章が星座ということもあり、〝京産らしさ〟も出せたと思います」

竹田さんによって商品化されたケーキの見た目はほぼ金田さんの案の通り。青い部分はゼリーで、バタフライピーというハーブで着色されています。

「写真映えに詳しい世代だからこそ生まれたケーキですね」と竹田さん。食べ終わった後の楽しみまで考えられていることに、わくわくしたそう。

商品名は〝星の世界〟という意味が込められた「ステラリウム」。2026年7月1日(水)~7日(火)にバイカル下鴨本店、金閣寺店、京都ポルタ店で販売。

2026/4/25・26に販売されました

開建高校

「親子丼おにぎり」に「きつね丼おにぎり」「十六穀米おにぎり」。これらを考案・販売したのは開建高校(南区)の2年生(当時)たち。昨年、学内で開催されたおにぎりのコンテストに出品したもので、審査員の「三彩食品」の谷本祐輝さんが商品化を提案したそう。

写真提供/三彩食品

販売に向けたブラッシュアップの中で苦労したのは、〝売れる商品〟にすることでした。「たっぷりの具材を真ん中に。そうしたかったんですが、食べると崩れてしまって」と生徒の浦谷望音(もね)さん。食べる人の立場になることが大切と気付き、具材をご飯に混ぜる方法を採用。価格やパッケージ決め、店頭販売も自分たちで行いました。「プレゼンも何度もしたので精神的に強くなった気がします」(昌原圭汰朗さん)

2026/4/25・26には「大丸京都店」で販売。接客や呼び込みにも挑戦しました 写真提供/三彩食品

龍谷大学

右から藤岡章子さん、吉田光輝さん、百武来美さん。「ラーメンのスープやナムルなどにも活用できます。いろいろな料理に合うので試してほしいですね」(百武さん)

2018年、地域課題に取り組む龍谷大学の教授・藤岡章子さんのゼミが受けた、ある依頼。〝ぶどうサンショウ〟の魅力を広めてほしいという和歌山県有田川町からのものでした。同町で多く栽培されているサンショウの品種で、かんきつ類のようなさわやかな香りが特徴だとか。

この依頼を機に編成された7人のチームが魅力発信のために考えたのは、ぶどうサンショウを使った商品の開発。生産農家の「篠畑農園」、スパイス製造を手掛ける「カネカサンスパイス」(大阪市)の協力を得て、スタートを切りました。

密閉できるチャック付き。「カネカサンスパイス」の宮田謙さんは、「会社での昼食用に持ち運べるようにと配慮したアイデアに感心しました」

サンショウの量は0.1g単位で調整

まずはターゲット決め。「私たち自身、サンショウには〝大人が好むもの〟〝ウナギにかけるもの〟というイメージがあったので、そこは変えたいなと」とは4年生の百武来美(ももたけくるみ)さん。「対象は、発信力の高さを考慮して20〜30代の女性に絞りました」と同じく4年生の吉田光輝(こうき)さん。

商品の候補には、フォーやアヒージョも挙がっていたそうですが。

「最終的に決まったのは、『コムタンスープ』。ターゲット層に人気の韓国料理です」(百武さん)

コスト面、持ち運びの手軽さ、アレンジのしやすさから液状ではなく粉末に。お湯で溶いて飲むスープです。

学生たちは篠畑農園で収穫をしたり、カネカサンスパイスで調合に参加したりと、体験しながら商品を作り上げたそう。

「調合では、0.1g単位でサンショウの量を調整。『風味をもっと感じたい』『苦手な人も飲みやすい量で』と意見が割れることもありましたが、ぶどうサンショウの香りを感じられる味を追求しました」(百武さん)

こうして出来上がったのが「ぶどう山椒香るコムタンスープ」。ゴマだけを加えたシンプルなスープです。

すすめられ、記者も一口飲んでみました。コクのある味わいを感じた直後に、サンショウの香りがふわっ。辛味もありますが、しびれるほどではありません。ご飯を入れてもおいしそう! シンプルなので、いろいろなアレンジができそうです。

「ぶどう山椒香るコムタンスープ」は篠畑農園オンラインショップなどで販売中。

篠畑農園で収穫をする学生たち。「篠畑農園」の篠畑雄介さんは、「この経験を通して、ぶどうサンショウの魅力をさらに感じてもらえたと思います」 写真提供/龍谷大学
ぶどうサンショウは、収穫後に乾燥させることでより香り高くなるとか 写真提供/龍谷大学

2026/5/6まで配布されました

京都芸術大学

2026/3/26~5/6、京都府内にある9店舗の生麺専門店「鎌倉パスタ」でランチョンマットが配布されました。右側には、同店スタッフを描いたイラストが。京都芸術大学2年生の鈴木日陽(ひより)さんが制作しました。

昨年、同店を運営する「サンマルクホールディングス」と同大学の産学連携プロジェクトの一環で、学生からイラストを募集。テーマは同社の企業理念「最高のひととき」。多くの応募の中から選ばれたのが鈴木さんの作品でした。「優しさを感じるデザイン。食事と一緒に楽しんでもらいたいと採用しました」と同社の飯田ひかるさん。

イラスト制作にあたっては、店舗に足を運び、制服や料理、スタッフの様子まで細かく観察したといいます。

スタッフが手にしているのは描くのが難しかったというカルボナーラ

「私がお店に持っている〝温かい雰囲気〟と企業理念を組み合わせることが難しかったです。求められていることを考え、理解する。そうした過程の大切さを改めて知りました」

「『鎌倉パスタ』で働いている友人が、いつも楽しそうに接客をしていて。そんな雰囲気を表現しました」と鈴木さん

2026/4/17〜26に店頭に

西宇治中学校

西宇治中学校3年生全員、106人が美術の授業でお菓子のパッケージデザイン作りにチャレンジ。しかも、店で実際に販売されているお菓子です。2024年9月、宇治市にある「パティスリーyuji」のシェフ・長谷川裕次さんと連携して始まりました。

まず、生徒は希望のお菓子を試食。味からインスピレーションを得て、デザインを仕上げていきました。完成したのは48種類。「チョコテリーヌ」のデザインをした笠本侑那(ゆな)さん(下記写真左から2人目)と中村奏愛(かなえ)さん(下記写真左端)は、試食をした時に塩を感じたことから、その塩のイメージを「星で表現したらかわいいかも」という気持ちを込めたそう。マカロンを担当した冨永萌衣(めい)さん(下記写真中央)は「作る側になって初めて、いかに見やすさが大事かを知ることができました。見ただけで、味の想像をしてもらえることも大切。〝買う側〟だけでは気付かなかった難しさです」

タブレットを使用して制作したグループも。クマの形をしたマドレーヌのパッケージデザインをしたのは、北川華菜(はな)さん(右端)と西井心菜さん(右から2人目)

長谷川さんは、「絵が苦手な子もいたと思いますが、グループで協力しながら頑張ったことに感動しました」と話してくれました。

フィナンシェ(上)とバニラサブレ(下)は、 それぞれデザイン違いの同じ商品。印象が変わりますね

(2026年6月27日号より)