脂肪肝にご注意

2026年6月12日 

リビング編集部

日本人の約3000万人が〝脂肪肝〟に罹患(りかん)しているといわれています。脂肪肝の原因は、生活習慣にあるよう。暑さの厳しい夏は生活が乱れがち。NG習慣を知って見直しませんか。

イラスト/オカモトチアキ

肝臓に脂肪がたまると、生活習慣病のリスクも上昇

そもそも脂肪肝はどんな状態を指すのでしょう。

「脂肪肝は、名前の通り肝臓に脂肪がたまっている状態です」。そう話すのは、京都府立医科大学消化器内科学の学内講師・瀬古裕也さん。肝臓病学などが専門です。

「肝臓にはアルコールなどを分解する役割が。また、栄養素を貯蔵する役割もあるため、摂取カロリーが消費カロリーより多いと、過剰分を脂肪に変えて蓄えてしまいます」

脂肪肝は自覚症状がほとんどないよう。

「脂肪肝から肥満や糖尿病といった生活習慣病になる場合や、その逆もあります。さらに放置していると肝臓に炎症が起き、やがて肝臓が硬くなり機能が低下して…と症状が悪化。肝硬変、肝臓がんなど重い病気になる人も一定数います。将来的に、心筋梗塞などにつながる危険もあります」

近年は、日本人の約3000万人が脂肪肝という推計も。もはや国民病といえそうです。

下記のリストでは、夏にやりがちな行動をピックアップしています。まずはチェックしてみて。

ストップ、NG習慣 見直しポイントは?

生活習慣のうち、意識して見直したいのは「食習慣」と「運動習慣」だそう。それぞれ、詳しく聞きました。

食べ過ぎや栄養バランスの偏りを避けて

「脂肪肝はかつて飲酒が原因といわれていましたが、食べ過ぎも原因だと分かってきました」と瀬古さん。「しかも日本人は皮下脂肪より内臓脂肪を蓄えがちな遺伝子があり、太っていないのに脂肪肝になるケースが少なくないようです」

食の欧米化が進み、高カロリー食品をたくさんとることも脂肪肝に関係しているとか。

「脂っぽいもの、糖質の多い炭水化物などのとりすぎにも注意してほしいですね」

夏の食事は手軽さや食べやすさを優先してしまい、栄養バランスが偏りがちですね。意識して食生活を改め、できるだけリスクを下げるのがよさそうです。

毎日欠かさずビールで晩酌、
つまみもパクパク

週2日程度の休肝日を設けて

「本来はアルコールをとらないことが望ましいのですが、日々の楽しみという人もいると思います。大切なのは、飲みすぎにならない量に留めること。休肝日は2日間など、連続して取るのがおすすめ。アルコールにさらされない時間が長いほうが肝臓の回復につながります」。おつまみは、酒が進みやすくなる味が濃いものや油っこいものを控え、ナッツ、枝豆、酢の物などにし、食べ過ぎに注意を。

アイスクリームに果物、甘いものがやめられない

シャーベット系、水分多めの果物を選んで

糖質・脂質たっぷりのアイスクリーム、果糖を多く含むフルーツは、とりすぎると肝臓の負担に。子どものおやつも量に気をつけて。「アイスクリームは成分を確かめて低糖質なもの、またはシャーベットに。フルーツはリンゴやバナナ、マンゴーやブドウといった糖度の高いものより、イチゴ、水分の多いスイカなどがベターです」

水分補給は、熱中症対策を
兼ねてスポーツドリンクで

運動時でなければ、水で割るか麦茶を

水分と同時にエネルギーを補給するスポーツドリンクには、砂糖が入っています。「運動時はいいのですが、熱中症予防で飲むなら糖質のとりすぎが心配。水で割って飲む、あるいはカロリーがほぼない麦茶に置き換えるといいと思います」

お昼は手軽に、そうめんや
冷やし中華など麺類オンリー

1日トータルで考え、朝食や夕食でカロリーや栄養バランスを調整

喉ごしがよく箸が進むそうめんや冷やし中華は、糖質が多め。「昼食で麺類をとりがちなら、トッピングの野菜や薬味を増やしたり、朝食や夕食は少し糖質を落としたメニューにしたり。1日トータルのカロリーや栄養バランスを考えて」。ただし食事抜きは肝臓がエネルギー不足を補おうと脂肪をためこむのでNGだとか。

屋内でもできる運動で、脂肪を燃焼

運動不足も「脂肪肝」の原因の一つ。猛暑で外出を控え、運動量が減ると、カロリーの消費量も減って脂肪をためてしまうそう。

「運動は毎日コツコツ続けることが大事。家の中でもラジオ体操やスクワット、壁に手をつき、押し返す運動など、足や背中といった大きな筋肉を動かすと効率よく代謝をアップできます」

暑くて運動なんて無理。家でだらだら過ごしてしまう

姿勢を正して消費カロリーをアップ

ソファの背もたれに寄りかかる、床に寝転がるといった姿勢は、体に力が入っていない状態。「背筋を伸ばして座る、適度に起き上がることを意識するだけでも、消費カロリーがアップします。家事をするときも体を大きく動かす、こまめに階段を上り下りするなど運動量を増やしてみて」

〝沈黙の臓器〟のSOSに気づくサインは?

病気になっても自覚症状が現れにくいことから、しばしば〝沈黙の臓器〟と呼ばれる肝臓。不調のサインは?

「よほど悪くないと症状は出ません。ただし、肝臓は有害な物質を解毒、排除する働きもしているので、そういった機能が弱まると体のだる重さや疲れを感じるかも。皮ふや目に黄だんが現れるのは、かなり悪い状態です」

数値としての手がかりは、健康診断などの血液検査でつかめるそう。

「日本肝臓学会は、肝機能の数値であるALTが30以上なら、かかりつけ医への相談を奨めています。必要なら精密検査も検討を」

ALTはもともと肝臓の細胞内にある酵素。細胞が壊れると血液中に漏れ出るため、この数値が高いと肝臓がダメージを受けていると分かるといいます。

「脂肪肝と診断されたら、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいですね。他の生活習慣病の危険もある、と体が警報を送ってくれていると捉えてほしいです」

京都府立医科大学
大学院医学研究科
消化器内科学
学内講師 瀬古裕也さん

(2026年6月13日号より)