
5/29は「こんにゃくの日」。この機会に、こんにゃくについて知り、もっと食事に取り入れてみませんか。
撮影/鈴木誠一ほか
さまざまな形に加工が可能
スイーツにも活用されています
おでんやすき焼きなどで定番の食材、こんにゃく。料理の名脇役のイメージが強いですが、「主役のポテンシャルを秘めた食材なんです」。そう話すのは、上京区でこんにゃくを製造する「尾崎食品」の尾崎建太さんです。
「こんにゃくは、製造時に色や味、形、食感を変えやすい食品です。その特徴を生かして、こんにゃく麺やこんにゃく米、肉・魚の風味を再現した加工品など、さまざまな代替食品が作られています」
昨年開催された大阪・関西万博では、こんにゃくを使ったうどんが防災食として出品されたり、肉の代替グルメとして串焼きが販売されたり。ビーガンにも対応した食材として注目されていたよう。
「加工技術が向上し、冷凍できるこんにゃく食品も登場しているんですよ。タピオカ、ゼリー、プリンなどスイーツの材料に使われることもあります」
もとは薬として伝来
食物繊維やカルシウムが豊富です
「こんにゃくの原料であるコンニャクイモは、東南アジアが原産。もとは食用ではなく、〝こん薬〟という薬として中国から日本に伝わりました」と尾崎さん。薬膳として広まり、やがてこんにゃくが作られるようになると、精進料理にも欠かせない食材の一つになりました。
コンニャクイモに含まれる「マンナン」という食物繊維には、便秘改善の効果があるといいます。また、血糖値の上昇を抑制したり、血中コレステロール値を下げる効果も期待できるそう。製造過程で水酸化カルシウムを使うため、カルシウムも豊富。板こんにゃく1枚あたり、コップ半分の牛乳と同程度のカルシウムが含まれています。
「グルテンフリーで低糖質・低カロリーという点も魅力です。アレルギーがある人や食事制限が必要な人にとっても、代替食品を活用することで食の選択肢が広がるのではないでしょうか」

こんにゃくは大きく分けて2種類
地域で好まれる色にも違いが
「こんにゃくは、原料の違いで大きく分けて2種類あります。一つは、コンニャクイモをそのまま使う〝生芋こんにゃく〟。芋由来のデンプンを含むので、芋の風味が残っています。刺し身用として売られているのはこちら。もう一つは、こんにゃく粉が原料の〝製粉こんにゃく〟です。こちらはコンニャクイモを乾燥させて粉砕し、デンプンなどを取り除いた、マンナンの粉末から作られています。より多くの水分を含み、プリッとした弾力があるんですよ」と尾崎さん。
どちらも原料に水を加えるなどしてペースト状にし、凝固剤の水酸化カルシウムを加えて成形しているそう。板こんにゃくはこのペーストを型に流し込んで加熱したもの。糸こんにゃくは糸状に押し出し、炊き上げたものなのだとか。
通常、こんにゃくそのものに味はなく、大きさや形、柔らかさなどによって食べ応えが変わります。同社では、取引先の要望に合わせて数十種類の形に対応しているそう。
尾崎さんによると「関東は柔らかめで白いこんにゃく、関西は固めで昔ながらの黒っぽいものが好まれる傾向があります」とも。こんにゃくは、原料そのままだと灰色がかった色あい。白いものは、こんにゃく粉に脱色加工が施されています。一方で、黒こんにゃくは海そうなどを混ぜて色付けされています。
「赤いこんにゃくは一般的に唐辛子入りです。京都ではお茶会など会席料理の煮しめに使われることも多く、ウコンを加えてより華やかな色にすることも。ちなみに、滋賀の名産として知られる赤こんにゃくは酸化鉄で染められていますよ」

コンニャクイモは、原料になるまで3年がかり!?
コンニャクイモは熱帯性の植物。そのため日本での栽培には、工夫が重ねられてきました。
日本のおもな生産地は群馬県。タネイモを5月に植え、10月に収穫。これは〝1年玉〟と呼ばれ、まだ小さく、こんにゃく作りには向きません。コンニャクイモは寒さに弱く、冬場に土の中にあると腐るので、秋にいったん収穫したものを翌年まで保存、春に再び畑に植え、秋に収穫という作業を繰り返して〝3年玉〟にし、ようやくこんにゃくの原料となります。
安定して低価な食材のイメージがありますが、昨年の夏以降猛暑や雨不足の影響もあり、原料のコンニャクイモは不作。品薄になったり、値上がりしたりする可能性もあるそう。

もっと知りたい!
こんにゃくのQ&A
こんにゃくにまつわる素朴なギモンを尾崎さんに聞きました
- どうして、カロリーが少ないの?
- 約96%が水分だから
- マンナンは水に溶けると非常に高い粘性を持ちます。こんにゃくは、水分を取り込んで何十倍にも膨張する性質を生かした食品で、96〜97%が水分。また、弾力があって自然にかむ回数が増えるので満腹感を得やすく、食べすぎを防げます。
- 「白滝」と「糸こんにゃく」に違いはあるの?
- 現在はほとんど同じものです
- 昔は製造方法が異なっていましたが、現在は同じ作り方になり、明確な違いがありません。関東では「白滝」、関西では「糸こんにゃく」として親しまれています。
- 独特なにおいの正体は?
- 製造に欠かせない凝固剤から発生する成分です
- 袋を開けたとき感じる独特のにおいの正体はトリメチルアミン。こんにゃくを固めるの際に使う水酸化カルシウムや、加熱時のアクによってにおいが発生します。塩もみや下ゆでをすることで、においを消すことができますよ。
- こんにゃくに味をしみ込ませるには?
- しみ込ませることはできませんが、味を絡ませるコツがあります
- 実は、製造後のこんにゃくそのものに味をしみ込ませることはできません。水分を吸わないからこそ、あのプリッとした弾力が生まれるのです。ただ、切り込みを入れて表面積を増やしたり、味付け前に乾いりして表面の水分を飛ばしたりすることで、調味料が絡みやすくなり、しっかりと味を感じられるように調理できます。
- こんにゃくを長持ちさせるには?
- 水道水を張った容器に入れ、冷蔵保存を
- こんにゃくは強アルカリ性の食品なので細菌が繁殖できず、理論上は腐ることはありません。さらに強アルカリ性の保存液で密封しているので、未開封なら常温で賞味期限より長い期間保存が可能です。ただ、開封したものは水分が抜けてしぼんだり、溶けたりすることが。水道水をたっぷり注いだ保存容器に入れ、冷蔵すれば1週間程度もちます。冷凍保存は食感が変わってしまうので注意。

教えてくれたのは
尾崎食品
尾崎建太さん
(2026年5月30日号より)
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