「健康診断」で分かる体のサイン

2026年4月10日 

リビング編集部

定期的な受診が求められている「健康診断」。何らかの指摘が入っている場合、「どうして?」「どう対策すればいいの」と思う人もいるのでは。そこで、知っておきたい原因や対策などを教えてもらいました。

イラスト/オカモトチアキ

健康診断において、「異常なし」以外の判定のことを指す「有所見」。結果の判定区分は健康診断の種類によって異なりますが、一般的に「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」などと表示されています。

「『要経過観察』と書かれている場合は、医療機関への受診は必要ありません。『要再検査』『要治療』などと記載されていれば、医師に相談してください」と話すのは、京都府立医科大学総合診療科の教授・四方哲(さとる)さん。結果に沿って対処することが大事なよう。

読者にアンケート(※)をとったところ、健康診断を受け、有所見があった項目で多いのが“脂質”で、約30%が該当する結果に。2番目に多いのが“血圧”でした。

それぞれ、有所見が出る主な原因や、有所見が出たときに判定区分を問わず取り組みたい対策などを紹介。読者に聞いた、有所見が出たときに取った行動も参考にして。

※2026年3月にリビング読者にアンケート。有効回答数648


読者の約30%が該当脂質

中性脂肪の数値が高い要因には、糖分の取りすぎも

血液中の脂質(LDLコレステロールや中性脂肪)の値が基準値より高い状態を、脂質異常症といいます。食生活の欧米化により、脂質異常症の人は年々増加しているとか。

LDLコレステロールの数値が高い原因として挙げられるのが動物性脂肪の過度の摂取です。一方、中性脂肪の数値が上がる原因には、甘いものやお酒などに含まれる糖分の取りすぎなども影響しているそう。

「脂質異常症はメタボの人に限らずやせ型の人も患います。基本的に無症状ですが、将来、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心臓病の要因になりえます」。LDLコレステロールや中性脂肪の数値が高い人は「特に症状がないから大丈夫」と思わず、揚げ物や脂身の多い肉を控え、魚や野菜をとるといった食生活の見直しに取り組むことが大切なんですね。

 「脂質の数値が基準値より外れている場合には、甲状腺の病気が隠れている場合も。年代を問わず女性はなりやすい病気のため、疲労感やむくみなど、気になることがあれば、医師に相談してください」

有所見が出た読者の体験談

  • 指導を受けて食事制限や運動などに取り組んだ結果、数値が改善されました(64歳・女性)
  • LDLコレステロールの数値に所見のある状態が続いていたので、主治医に相談。薬を服用するようになって、数値が下がり始めました(61歳・女性)


読者の約23%が該当血圧

高血圧は食塩の過剰摂取や寒暖差も影響

血圧に所見が出る人の中でも、高血圧を発症している人の割合が年々増加傾向にあるといいます。

高血圧は食塩のとりすぎや肥満、運動不足、寒暖差による自律神経の乱れなどが主な原因に挙げられます。

「高血圧も基本的に無症状ですが、長年続くと心臓や腎臓、血管への負担に。病気を予防するため、減塩などで改善を目指すことが大切です」

食塩摂取を減らすため、調理の際には塩分計などで塩分量を測りながら調味料を加えることや、塩の代わりにしょうがやさんしょうなどで味付けをすることなどが推奨されています。

野菜や果物に含まれるカリウムは、腎臓から食塩を排泄しやすくする働きがあるとも言われています。積極的に摂取して。

体重を管理し、ウオーキングをする、エレベーターをやめて階段を使うなど、定期的な運動習慣を取り入れることも大切です(※)。

室温を適温に保ち、重ね着で寒暖差を緩和することにも気を付けましょう。

※重症の高血圧や心臓などに病気がある人、薬を内服している人などは、運動を始める前に医師に相談を

有所見が出た読者の体験談

  • 毎日血圧を測り、よく歩くようにしています。今は標準の値になってきたので、このまま続けます(72歳・女性)
  • 毎日体重と血圧の測定をし、午前中に80分〜90分のウオーキングを行っている。それに加え、週3〜4回ジムに行き、ストレッチ、自転車こぎ、筋力強化をしている(75歳・男性)

脂質、血圧の検査項目以外で、有所見が出る人が多い病気を聞きました。当てはまる人は対策を。

肥満や高血圧で生じることも

急に脈が早くなったり、遅くなったりする不整脈。心電図検査で指摘が入る人が少なくないようです。

「不整脈と診断されても、特段症状がなく、経過観察になるケースもあります」

不整脈の原因はさまざまですが、肥満や高血圧に起因することも。

胸の痛みや圧迫感を感じることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。

有所見が出た読者の体験談

  • 30代のときから不整脈の所見が。医師に相談すると、「明らかに病的なものではないけど、年に一度心電図検査を受けてデータをためましょう」と言われた(55歳・女性)

外部からの細菌も原因に

ぼうこう炎を患い、尿検査の項目の尿潜血が陽性になる人もよく見られるそう。

「特に女性は男性に比べると尿道の長さが短いため、外部からの細菌がぼうこうに届きやすく、炎症を起こしやすいと言われています」

尿が長くとどまると細菌が増えやすくなるため、尿意を感じたらこまめに排尿すること、排尿後は必ず前から後ろに拭くようにすることなどが大切なのだとか。

有所見が出た読者の体験談

  • 血尿で引っかかり病院へ。ぼうこう炎になっていた(47歳・女性)

子宮の病気による出血によっても誘発

血液検査を通して赤血球数やヘモグロビンの濃度を測定し、判断される貧血。「指摘が入ったことがある」という読者も多いかもしれませんね。

「女性は生理や子宮の病気による出血で貧血になりやすいです。閉経後でも、消化器系の腫瘍による下血が原因となることもあります」

貧血に所見が出るときは鉄分が不足している場合があるため、日頃の食事の内容を見直すことが大切です。

痔(じ)が原因で貧血を引き起こす女性も、意外と目立つそう。

「育児による抱っこで肛門に圧がかかることにより、痔を引き起こします。便秘が原因になることもあるので、便通を良くすることも痔の予防になります」

有所見が出た読者の体験談

  • 45歳ごろにヘモグロビンの濃度が基準値よりかなり低下している状態で、貧血の所見が出ていた。婦人科での診断の結果、子宮筋腫のため、生理時に出血が多いのが原因と判明。その後の治療で回復した(47歳・女性)

異常があった人もなかった人も、健診結果は保管し、病気などで医院の受診が必要になった際に持参するといいのだとか。

「新たな疾患で病院を受診した際、数年単位の正常値が分かるため医師が診断するうえで役立ちます。お薬手帳と一緒に保管しておくと良いでしょう」

教えてくれたのは

京都府立医科大学
総合診療科 教授
四方哲さん

(2026年4月11日号より)