春の畑で収穫が始まっています

2026年4月3日 

リビング編集部

暖かくなり、春の味覚がスーパーなどに並んでいますね。旬の味を届けるために、農家がしていることとは。収穫や栽培が行われている3月中旬に、三つの畑を訪ねました。

写真/桂伸也、深村英司ほか

アスパラガス | 4月中旬

一つの株から複数の芽が
最盛期の収穫は1日30kg以上
久御山町 田口洋輔さん

10年以上手入れをしている株から、アスパラガスを収穫する田口さん。地面から1cmほどの位置でカットし収穫。「株の健康を維持するため、鉄やマンガンなどを含む有機肥料を使っています」

ビニールハウスの中で見つけたのは、地面からまっすぐ伸びるアスパラガス。アスパラガスは、土の中で根を張った株から複数の新芽を出します。

「種を植えてから株に育つまで丸1年。以降は、同じ株から毎年新しい芽が出ます。僕たちが野菜として食べているのは、その芽が成長した若茎の部分なんですよ」

そう教えてくれたのは、久御山町の田口洋輔さん。弟の弘明さんとともに、9棟のビニールハウスで約5400株のアスパラガスを育てています。

一般的なアスパラガスは直径約1㎝。土の中で芽を出し、ある程度茎の太さが決まるそう。

「1㎜以下の細すぎるものや傷みが目立つものは早めに剪定(せんてい)し、株の養分をほかの茎に分け与えます」と田口さん。

取材時は、収穫が始まったばかり。長さ30㎝ほど育った茎の下部をカットしていきます。最盛期の4月中旬には、1日で30〜40㎏を収穫するそう。

「中腰で行う作業は重労働。大変ですが、暖かくなると数日で育つ上、成長しすぎて穂先が開くと商品価値が下がるため、毎日の収穫が欠かせません」

早朝に収穫したアスパラガスは、機械で重さごとに選別されます。細いものも、料理の飾り用に需要があるとか。選別後は手作業で袋詰めされ、翌日に出荷されます。

「春のアスパラガスは、冬に蓄えた養分で育つので味が濃く、甘みが強いのが特徴。ぜひ味わってほしいですね」

右)自動選別機で選り分けられるアスパラガス
左)長さ25cmに切りそろえ、重さごとにまとめられます

レタス | 4月下旬~5月上旬

ビニールハウスで種から苗へ
3月は毎週2500個の苗が畑に
伏見区向島 中嶋直己さん

1月に畑に植え替えたレタスは、3月時点で直径20㎝ほどに成長。寒い日もあるので、畝を白い不織布(写真左)で覆っているとか


伏見区向島の「中嶋農園」ではレタスが栽培されています。訪れると、畑には直径20㎝ほどに成長しているものから、苗を植えたばかりのものまで、異なる成長段階のレタスが。

外葉が広がり始めた様子。さらに成長すると中心部で葉が重なり合い、実の詰まったレタスになるそう
苗づくりは中嶋さんのお父さんが担当。「苗で質の半分が決まる、といわれています」と中嶋さん

「年末から1週間おきにビニールハウスで種を植えて、苗を育成。時期をずらすことで、シーズン中に安定した量を提供できるようにしています」と、同農園代表の中嶋直己さん。取材時は、5人の社員とともに苗を畑に植え替えているところでした。3月は、毎週2500個ずつ植えているそう。

「父の代から40年レタスを栽培していますが、ここ数年は気候の変化が激しく、〝例年通りの作り方〟が通用しなくなっています。そのため毎日畑の土の乾き方や、葉の育ち方を確認。畝を不織布で覆って温度を保ったり、水やりや追肥のタイミングを変えたりと、臨機応変に対応しています」

気温が上がったことで、畑には雑草も。「草むしりも、レタスに養分を行きわたらせるための大切な仕事です」

収穫は4月上旬から5月中旬。レタスの出荷量は計1万8000個とか。鮮度が魅力という中嶋農園のレタスは、収穫したその日のうちにスーパーなどに並びます。

昨年収穫したレタス。シャキシャキとした食感が好評だったとか

スナップエンドウ|4月下旬~5月下旬
新タマネギ|4月下旬~5月

ネットに沿って上へと伸びるツル
露地では春でも寒さ対策が欠かせません
右京区京北黒田地区
吉田学志さん・まりさん

家庭向けに野菜の定期便を行っている吉田さん夫妻。「届いたときにうれしくなるものを目指しています。僕たちの育てた野菜で、料理を楽しんでもらえたら」

京北の黒田地区は、3月でも雪が降ることがある地域。こちらで年間約40種の野菜を育ているのが吉田学志(さとし)さん・まりさん夫妻です。春は約10種の野菜を栽培。その中から、スナップエンドウと新タマネギの畑を見学させてもらいました。

ビニールハウス内には、昨年11月に植えたというスナップエンドウが芽を出し、ツルを伸ばしていました。「今は、ツルをネットに固定し、伸びる方向を誘導する『誘引(ゆういん)』という作業をしています」と吉田さん。ツルが地面に垂れるのを防ぐことで、しっかりと実が付くようになるのだとか。取材時は15㎝ほどでしたが、収穫期の4月〜5月は2m程度まで伸びるといいます。

ネットに沿ってツルを伸ばすスナップエンドウ。計90mの畝に、440本の苗が等間隔に植えられています
スナップエンドウのツルをネットに固定する吉田さん
5月ごろのスナップエンドウ(昨年の様子)。早朝に1~2時間かけ、1日で5~6kgを収穫します

新タマネギは、まだ雪が残る露地に。畝から20㎝ほど葉が伸びていました。吉田さんによると「野菜は寒さで凍らないよう、糖を溜め込んで甘くなる」のだそう。寒さ・雑草対策に畝をマルチシートで覆い、土の乾き具合を見ながら水やりを行っています。

4月ごろから実の小さな葉付きタマネギとして収穫され始め、5月には新タマネギとして出荷されます。

昨年収穫したタマネギ
取材時の畑

「市街地より気温が5℃近く低いので、どの野菜も成長は1〜2週間ほど遅めですが、雪解け水をたっぷり吸収し、みずみずしく育ちます。この土地に合う栽培方法を見つけるため、試行錯誤しています」

(2026年4月4日号より)