「脳疲労」にご用心

2026年2月20日 

リビング編集部

スマートフォンなどのデジタル機器の普及が進み、世界的にも問題になっている「脳疲労」。リビング読者にアンケート(※)をとると、約9割が「脳疲労だと感じるときがある」と回答する結果に。そこで、専門家に「原因は?」「回復するにはどうしたらいいか」など、気になることを聞きました。

イラスト/かわすみみわこ
※2025年12月、リビング読者にアンケートを実施。有効回答数481人

「脳も臓器の一つ。使い続けたら休憩が必要です。昨今はスマートフォン、パソコンなどのデジタル機器が普及したことで、昔よりも脳を働かせている時間が長くなっています」。そう話すのは、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授の枝川義邦さん。

「脳疲労」とは、脳が長時間にわたって過剰な情報処理を行った結果、疲労が蓄積される状態のこと。脳は情報処理に加えて判断や感情コントロールにも関わっているため、脳疲労の状態が続くと、その働きが鈍化。ミスを繰り返したり、イライラしやすくなったりしてしまうのだとか。

加齢と脳疲労にも関係が。

「年をとるにつれ、脳の容量が小さくなり、その働きも低下してしまいがち。そのため、脳疲労を感じてしまいやすくなります」

具体的にどういった行動をとると脳疲労を引き起こしやすいのでしょうか。

「複数の作業を同時に進行する、〝マルチタスク〟の行動が挙げられます。脳は同時に二つ以上の処理を行うことができないため、一度に複数のタスクをこなしているつもりでも、実際には作業を切り替えながら進めています。この切り替えごとにエネルギーが消耗されることで、脳疲労を招きやすいと言われています」

特にテレビを見ながらパソコンでメールを返す、タブレットを見ながらスマートフォンをチェックするというようなデジタル機器を使ったマルチタスクは、過度な疲労を招きがちだとか。

上の表は、脳疲労を起こしている状態の一例です(※)。当てはまるものが多い人は、2面で紹介する回復方法を実践してみて。

※別の病気の可能性もあり。気になることがあれば医療機関の受診を

立命館大学大学院
テクノロジー・マネジメント研究科
教授
枝川義邦さん

「脳を休ませるには、極力脳を使わないことが大切です。1時間使ったら5分・10分の休憩を入れましょう。席を離れてお茶を入れに行くなど、これまで行っていた作業をやめることが重要です」

特に目から情報が入ると脳が働きやすいため、目を閉じて情報を遮断すると良いそう。

「ずっと同じ姿勢でいたら、体を動かして。脳への血流が促進されます」

良質な睡眠をとることも重要だといいます。

「睡眠によって、一日の脳疲労が回復します。睡眠が不足すると、脳疲労が翌日に持ち越されてしまいます」


読者が脳疲労を感じるとき

「朝に比べると、夕方は仕事の処理能力が落ちているなと実感するとき」(34歳・女性)「長時間ゲームをした後、物忘れをしたり、暗証番号が分からなくなったりしたとき」(46歳・女性)
「たくさんの人と長時間集中して話したとき、同じことを聞き返してしまうことがある」(58歳・女性)「介護をしていて夜中に何度も起きないといけないとき、正常な判断ができなくなる」(59歳・女性)

「『夜遅くにお酒を飲む』『夕方以降にカフェインをとる』といった、睡眠の質を低下させる行動はNGです。運動不足や栄養の偏りも、脳の血流を悪くさせ、疲労回復を遅らせてしまうと言われています」

読者のリフレッシュ方法、これって?×?

脳疲労を感じることがあるという読者に、日頃行っているリフレッシュ方法を教えてもらいました。枝川さんの意見もチェックして、日常で取り入れてみませんか。

「コーヒーの香りは脳が安らぐ効果があるといわれています。ただし、カフェイン摂取は脳が覚醒し、睡眠を邪魔してしまうため、夕方以降はカフェインの少ないデカフェタイプを選んで」

エネルギーを回復させる意味ではいいですが、糖分や油分のとりすぎは、栄養面で良くありません。脳の血流を高めるポリフェノールが含まれる、カカオの割合が高いチョコレートをチョイスして」

「室内で換気をせず、二酸化炭素の濃度が高まると、脳に悪影響。窓を開けて酸素を取り入れるようにしましょう」

「水分が少ないと脳の働きも低下します。一般的に、水分が足りていない人が多いと言われているので、頭を使う仕事や勉強の前にお茶や水を飲むのも手です」

「太陽の光は積極的に浴びましょう。特に昼間は明るい場所で、夜は薄暗い場所で過ごすことが睡眠の質を高め、脳疲労の回復につながります」

「ビタミンB群の摂取が脳疲労の回復に期待できると言われています。特にビタミンB1には炭水化物などの糖分をエネルギーに変換する効果が。不足すると脳の疲労感も高まります。ビタミンB1はナッツ類で摂取するとよいでしょう。サプリでもOKです」

「ネガティブな言葉を耳にすると、脳疲労につながります。愚痴の言い合いをすることで、お互いにダメージを与える結果に。あえて口にするのは控えましょう」

(2026年2月21日号より)