2026年、記念の周年を迎えます

2025年12月26日 

リビング編集部

来年2026年に目を向けると、京都には節目となる周年を迎える施設や団体などが多数。それぞれの歩みを取材し、今につながるさまざまな歴史を探りました。

京都市東山区

円山公園

桜が増え、ライトアップも行われ、花見の名所へと発展

2025年に撮影された2代目「祇園しだれ桜」。園内では、ソメイヨシノや八重桜など約450本の桜を見ることができます
1897年に撮影された初代「祇園しだれ桜」。多くの花見客が桜に見入っています
開園当初の円山公園一帯

※いずれも、画像提供は京都市建設局みどり政策推進室

京都の花見の名所として有名な円山公園。八坂神社の東に広がるこの公園ができたのは、1886(明治19)年のこと。

「鎌倉以前にさかのぼってみると、円山公園がある場所はもともと真葛ケ原(まくずがはら)と呼ばれる原野でした。つる性のクズやススキが一面に生い茂っていたといいます」と話すのは、京都市建設局みどり政策推進室の担当者。

時を経て江戸時代になると、雰囲気は一変。風光明媚(めいび)な景勝地として、にぎわうように。こちらを保存するためにできたのが円山公園です。

円山公園の歴史を語るときに外せないのが、「祇園しだれ桜」ですよね。公園のシンボルともいえる枝垂れ桜ですが、担当者によると開園前からその地に植えられていたものだとか(※)。公園よりも先にあったとは、少し意外です。

開園翌年の1887年には数百本の桜が植樹され、さらに華やかさが加わった円山公園。

「当初はかがり火をたいて夜桜を観賞していましたが、1938年には今も続いているライトアップがスタートしたんですよ」

来春は、140年の歴史を感じながら円山公園での花見を楽しんでみませんか。

※初代「祇園しだれ桜」は1947(昭和22)年に枯れ、現在は2代目に

宇治市

京都大学化学研究所

国産初の合成繊維やフィルム型太陽電池の開発も

1939年頃、教授の喜多源逸(げんいつ)さんが中心となって開発していた人造石油の試験装置 ※当時撮影
フィルム型ペロブスカイト太陽電池を搭載した防災用の発電テント。教授の若宮淳志さんの研究室にて開発
同研究所は、京都大学宇治キャンパス内に

※いずれも、画像提供は京都大学化学研究所

京阪「黄檗」駅から東南へ6分。「京都大学宇治キャンパス」内にあるのが、京都大学化学研究所です。1926年に誕生し、化学のみならず、物理・生物・医薬・情報といった周辺分野の研究も進めています。当初は百万遍にある京都大学内に研究室が点在していましたが、1929年に高槻市に研究所本館が完成。その後、1968年に現在の場所に移転したそう。

教授の大木靖弘さんと広報担当の武田麻友さんに、これまでの歴史を聞いてみました。

「創立期から1940年代にかけては、世の中の要求に応え、産業界で役に立つ製品の研究・開発が活発に行われていました。例えば、人造石油や国産初の合成繊維『ビニロン』の開発が挙げられます」(大木さん)

研究所併設の歴史展示室で見学した、1942年頃の「ビニロン」の製造計画書は茶色く変色。展示されているサンプルを持ってみると、ナイロンよりは綿に近い手触り。

「耐久性を生かし、現在はロープやホースなどに使われています」(武田さん)

その後も、さまざまな研究を行ってきた同所。1963年にはビデオテープや電車の切符に使用されている酸化鉄微粒子、1980年代にはセラミック製の人工骨の開発に成功したそう。最近では薄くて曲がるフィルム型の太陽電池を開発。凹凸のある建物の壁や屋根にも付けることができる点が特徴で、現在、実用化に向けて研究中です。

2026年秋には100周年記念事業として、京都大学総合博物館で特別展が開催されます。

向日市

京都府埋蔵文化財
調査研究センター

これまで調査した遺跡は約1500件
昔も今も、発掘や洗浄は手作業です

長岡京市の「伊賀寺遺跡」で発掘された石囲い炉の複製  ※現在は展示されていません
1988年に発掘された「私市(きさいち)円山古墳」(綾部市)。5世紀に丹波地方を治めた有力者の墓と考えられています

※画像提供:京都府埋蔵文化財調査研究センター

新しい施設が作られる場所で発掘調査中。京都ではよく見かける風景ですね。1981年に設立された京都府埋蔵文化財調査研究センターは、京都府の開発事業に伴う発掘調査を担っています。設立後、45年間で約1500件の遺跡を発掘したそう。

2008年、京都第二外環状道路工事などの際に発掘された長岡京市の「伊賀寺遺跡」もその一つです。

「この時は、石で囲まれた炉を持つ縄文時代の住居跡を発掘しました」とは同センターの肥後弘幸さん。「〝石囲いの炉〟は近畿地方では珍しいんですよ。煮炊きや暖房に使われていたようです」

取材時、同センターに隣接する向日市文化資料館では、こちらの炉の複製を展示(※)。実際に見てみると、「この炉を囲んで家族が暖を取っていたのかな」など想像がふくらんできます。

聞くと、毎調査には30~40人の職員が参加するとのこと。近年は、事前に実施する測量は機械化されたものの、発掘や出土品の洗浄・接合は手作業で行われているとか。歴史と文化を解明し、遺産を後世に伝えるための丁寧な作業風景は今も変わらないのですね。

※通常は発見場所に近い阪急「西山天王山」駅に展示

京都市北区

京都市交響楽団

初期は〝モーツァルトの京響〟という通称も
今は映画音楽や合唱付きの「第九」も披露

第1回定期演奏会は4500人以上が鑑賞。中には木に登って聞く人もいたとか
第1回定期演奏会で配られたプログラム

※いずれも、画像提供は京都市交響楽団

〝京響〟の愛称で親しまれている京都市交響楽団。1956年、日本で唯一の自治体直営のオーケストラとして設立されました。今秋からは、楽団のメンバーが文化施設などに出向き、演奏を行う70周年記念の「京(みやこ)の演奏会」が始まっています。

同楽団職員の田渕洋二郎さんは、「今は京都市北区に専用の練習場がありますが、設立当初は円山公園音楽堂の地下が練習場所でした。第1回定期演奏会も円山公園音楽堂で開催したんですよ」と話します。

70年の歴史の中で演目や演奏会のスタイルにも変化が。

「初期の演目は、モーツァルトが中心でした。〝モーツァルトの京響〟と呼ばれるほど、好評を博していたそうです。1960年代には楽器編成の規模を拡大したことで、近現代のクラシック音楽も幅広く演奏できるようになりました」

1971年から続けている親子向けコンサートでは、映画の曲を披露することもあるとか。さらに、1995年に市民合唱団「京響コーラス」が結成されてからはベートーベンの「第九」のような合唱付きの曲がレパートリーに加わるように。2026年には作曲家・プロコフィエフが手がけた交響曲全曲の演奏にも取り組むそう。これは、同楽団としては初めてで、世界的にも珍しい試みだといいます。

「発展するなかでも変わらないのは、市民のためのオーケストラであること。身近に音楽を感じてもらえるよう、これからも活動の場を広げていきます」

京都市左京区

京都伝統産業
ミュージアム

約30品目から74品目へ
リニューアルで工程を学べる内容に

常設展示場に並ぶ伝統工芸品の数々。中には購入できる作品も
京都市伝統産業会館だった頃の建物

※いずれも、画像提供は京都伝統産業ミュージアム

愛らしい〝京人形〟、きらびやかな〝西陣織〟など74品目の京都の伝統工芸品の常設展示が。ここは、京都市勧業館「みやこめっせ」内の京都伝統産業ミュージアム。1976年、京都伝統産業会館として開館した当初の取り扱いは約30品目と、現在の半分以下だったそう。開館以降、担い手不足や市場の縮小といった課題が深刻になるなか重視したのは、京都の伝統産業をより広くアピールすること。徐々に品目数を増やしながら、現代風の作品の紹介も行っています。「『京鹿(か)の子絞』の展示は着物だけではなく、絞りの技術を施した和紙を使ったバッグの扱いも始めました」(同ミュージアムの広報担当・立石さん)

2020年には全面リニューアルを実施。同時に、現在の名称に変更したそう。

「リニューアルを機に、パネルや映像で製造工程と技術を学べる展示方法を採用し、体験コーナーを充実させました。伝統産業をより身近に感じていただければうれしいですね」

京都市中京区

京都国際マンガ
ミュージアム

ページがすり減っているマンガも
海外からの来館者が増加

建物は、元・龍池小学校が活用されています(撮影は1932年頃)
外国人来場者からの質問がきっかけで作られた常設展示「マンガって何?」(イメージ)

※いずれも、画像提供は京都国際マンガミュージアム

2006年に、総合的にマンガを扱う文化施設としてオープンした京都国際マンガミュージアム。江戸期の戯画浮世絵、明治から昭和初期の雑誌、単行本など約30万点のマンガ資料を所蔵しています。約5万点の単行本はその場で読むことができますよ。「メインギャラリーでは、大正時代から2005年くらいまでの名作をそろえています。よく読まれていることが分かるのは『ドラえもん』。親指があたる位置の紙がすり減っているので、多くの人が手にしているんだな、と感じます」(同ミュージアムの広報担当・中村浩子さん)

常設展示の実施もあり。2020年からはパネルをカラフルにするなど、見やすさにも一工夫しています。

「開館当時に比べると、マンガは世界的にポピュラーな文化になったといえそうです。海外からのお客さまもさらに増加していますよ」

京都市左京区

ロームシアター京都

自主事業をパリでも上演
大学と連携しています

パリ日本文化会館でも上演された演劇作品「キティ」。作・演出は市原佐都子さん ※撮影:中谷利明さん
「プレイ!シアター in Summer」では体験型のパントマイムショーも ※撮影:山地憲太さん

※いずれも、画像提供はロームシアター京都

1960年に誕生した京都会館が、2016年にロームシアター京都としてリニューアルオープン。開館を機にスタ―トしたのがオペラや演劇、伝統芸能などの自主事業です。その中の一つが「レパートリーの創造」。時代を超え、長く上演されることを目指してさまざまな演目がプロデュースされているとか。「特に評判を呼んだのが、2025年度の『レパートリーの創造』として生まれた演劇作品『キティ』です。パリでも上演されたほどなんですよ」と同館の事業課長・小倉由佳子さんは話します。

また、2018年にスタートした子どもとその保護者向けイベント「プレイ!シアター in Summer」は、近年、市内の大学や施設も参加。連携の輪が広がっています。

(2025年 年末年始号より)