深夜、大学のサークルが銭湯の清掃に励んでいます

2025年10月17日 

リビング編集部

京都はもともと銭湯文化が盛んな地域でしたが、その数は年々減少しているといいます。そんな銭湯を〝清掃〟することで、守りたいと活動しているのが「京大銭湯サークル」。京都市左京区百万遍にある「東山湯温泉」で、週に2回、深夜の清掃に励んでいます。

撮影/岡森大輔ほか

メンバーは、大学の年次や年齢関係なく「銭湯が好き」という共通点で気軽に付き合えるそう

日曜の午前0時30分。深夜、Tシャツと短パン姿の男女6人が閉店後の「東山湯温泉」に集まってきました。彼らが「京大銭湯サークル」のメンバーです。

活動は週2回、火曜と日曜に実施。火曜は薬草湯の浴槽を、日曜は洗い場のタイルやカラン(蛇口)、脱衣場を清掃しています。使う道具や洗剤は、洗う場所に応じて変更。「イスやおけ、カランはスポンジで。タイルはたわしで洗います」とは、同サークル4代目会長で同学2年生の丸山和栞(のどか)さん。

閉店後とはいえ、湯の熱気でサウナ状態の浴室。10分もすれば汗が流れ落ちてきますが、メンバーたちは手を止めることなく作業を進めます。

洗浄が終わると、循環式の浴槽から湯をくみ、床や壁の洗剤を流します。掃除がすべて終了するまでに1時間ちょっと。メンバーたちは最後にお風呂に入って汗を流し、この日の活動が終了しました。

サークル発足当初は、シローさんが学生に清掃方法を伝授。今はメンバー同士でやり方を教え合っているそうです
過去には、別の銭湯の子ども向けのイベントを手伝ったことも

2022年に設立された「京大銭湯サークル」。大学近くの「東山湯温泉」の店主が高齢になったことで清掃に苦労しているという話を聞き、サポートするために立ち上げたのだそう。「銭湯の清掃は本当に大変。扉を外して滑車を洗ったり、イスやおけにこびりついた水アカを掃除したりといった力仕事も、私たちが代わりにできたら」と丸山さん。「東山湯温泉」の店主のシローさん、ヒロコさんは「彼らが来てくれて本当に助かっている」とにっこり。

活動のやりがいについて、「『お客さんがカランがきれいやった、と言うてはったよ』とお二人に聞くと掃除して良かったなと思います。掃除後にお風呂に入れるのもうれしい」とも話します。

サークルには京大生だけではなく、他大学の学生や卒業生、一般の人も参加し、メンバーの数は200人以上。ただ、全員が清掃に参加しているわけではないとのこと。

「清掃は深夜なので頻繁には参加しづらい人も。気軽に参加してもらえるように、毎月26日を『ふろの日』として、京都市内の銭湯を巡って入浴する活動も実施しています」

11月に行われる京都大学の学園祭では、ブース出展に加え、大学周辺の銭湯をスタンプラリー形式で巡ってもらう企画も予定しているとか。

活動の様子は、インスタグラムで配信。「銭湯巡りの企画や投稿をきっかけに、銭湯の魅力をより多くの人に知ってもらいたいです」

インスタグラムは「kyodai_sento」で検索を。

取材日の参加メンバー。京都大学・大学院の学生に加え、卒業生も参加。「活動は清掃がある日に自由に参加するスタイルです」と、会長の丸山さん(前列中央)

(2025年10月18日号より)