
人生100年時代、年をとっても充実した生活を送りたいもの。今回はそんな理想をかなえている5人のシニアを取材。全員の年齢を足すと、455歳! 人生の先輩から、毎日をいきいきと過ごすコツを教えてもらいました。
撮影/武甕育子ほか
俳句や花だよりなど、
ブログを毎日休まず更新
蒲田晧兵さん92歳


パソコンに向かい、日課であるブログの更新をする蒲田晧兵(こうへい)さん。
ブログを始めたのは15年前。訪れた社寺や季節の花、おいしかった料理、珍しい自動販売機などの記事を毎日書いているそう。週に1回は「フォト俳句」も投稿しています。「フォト俳句」とは、俳句に写真とコメントを添えたもの。84歳のときには「フォト俳句集」の自費出版もしました。
「常にアンテナを張り、気になる情報があれば足を運んで、自分の目で見て確かめます」
史跡巡りなど複数の団体にも所属。そのため出かける機会が多く、出先で見つけた情報を発信することもあるのだとか。
投稿を続けるうち、ブログとリンクするフェイスブックのフォロワー(登録者数)は1000人近くに。
「記事では読む人のプラスになる情報を入れるよう心掛けています。少しでも人の役に立ちたいんです」
「何歳になっても好奇心のままに」
90歳からは、畑仕事にも熱中。近所の人に手ほどきを頼み、今夏は庭でトマトやスイカを栽培しました。
「西瓜(すいか)の顔 きょうも確かむ 水をやる」。7月のブログには、生育を楽しみに見守る一句がありました。
時間があれば草むしりに洗濯
毎晩のワインが日課
廣田文子さん101歳


亡き夫と切り盛りしてきたお店の隣が、廣田文子さんの自宅。今は一人暮らしですが、お店の後を継いだ子や孫らが昼夜訪れてにぎやかです。
廣田さんが仕事をリタイアしたのは70代半ば。現在は悠々自適な生活と言いつつ、時間があれば草むしりや部屋の掃除、お店で使ったタオルなどの洗濯と、こまめに動いています。
過去には心臓疾患を患い、今もペースメーカーを使用。それでも、「できることは自分でしたい」と話します。
「クヨクヨせずに日々気楽に」
夕飯の楽しみは、グラス半分のワイン。「お酒は好きやけど、今はこれだけ。もう少し生きていたいから」とにっこり。一人の食卓でも、晩酌相手には困りません。仏壇を指して「お父さんがいる。しゃべらへんけど(笑)」。
常にユーモアたっぷりで明るい廣田さん。
「あまりクヨクヨしない性格。明日はなるようになるわ」
出かけて会って話して、
仲間づくりを楽しみます
小泉順邦さん81歳


朝8時過ぎ、西院春日神社の境内で体操が始まりました。集まっているのは、高齢者の健康維持を目的とした「すこやか体操クラブ」の会員。輪の中心にいるのが代表の小泉順邦(よりくに)さんで、7年前の加入直後、頼まれてその役を引き受けたといいます。
毎朝、体操の進行をするほか、近隣の催しなどをメンバーに紹介することも。
「こうして出かければ足も丈夫になるし、誰かと会って話せば気もまぎれる。人は一人では生きられないもの。自分がいろいろなことに参加するだけではなく、周りの人を誘ったり、情報を届けたり、参加するきっかけをつくるのが大切なんです」
「ボランティアはいわば恩返し」
同クラブ以外にもウオーキングの会など6団体に所属し、それぞれで代表や会計などの役を担う小泉さん。
ボランティア団体「気ままおやじ会」もその一つです。リタイア後のシニア男性に交流の場をと、6年前に小泉さんが仲間と結成。公園を清掃したり、福祉施設などでコーヒーをふるまったり、という活動をしています。
「若いころはよく人に迷惑をかけたから(笑)、ボランティアは恩返し。何より自分が楽しんでやっています。忙しくて病気で寝ている暇もない!」
元気の秘訣(ひけつ)は仕事
65年、夫婦で理容室を営業
中村卓郎さん90歳 みちさん91歳


「今日はどうしましょう」。中村卓郎さんが、お客さんにハキハキと話しかけます。そばで見守るのは妻のみちさん。結婚以来65年、二人で理容室を営んでいます。
現在は週5日、午前中だけの営業。来店するほとんどが常連客だそう。
「辞めんといて、と言ってくれる人もいて、1日に一人、二人のペースで続けています」と卓郎さん。
みちさんの定位置は鏡の横の椅子。以前は顔そりやシャンプーをする役割を担っていましたが、今は専らおしゃべり担当です。
「しんどくて寝ていても、お客さんが来ると店に出ます。人と話すのが好きなんですよ」
「人生のオマケ、気楽な気持ちで」
毎朝卓郎さんが作る野菜ジュース以外は、特に健康維持に気を遣ってはいないという二人。
「この歳でも元気なのは、仕事があればこそ。もう人生のオマケといえる時期。楽しく気楽に、が今のモットーですね」(卓郎さん)
そんな夫婦を慕い、おしゃべりをしに立ち寄る常連客も多いそうですよ。
シニアのいきいきとした生活を応援する
京都府・京都市の取り組み
高齢者の生活の充実のために、府や市が行っている取り組みの一部を紹介します。
京都府の主な取り組み
府が支援する公益財団法人「京都SKYセンター」では高齢者の生きがいづくりなどを応援しています。
(京都SKYセンターの活動の一部)
京都SKYシニア大学
シニアの「学びたい」「社会とつながりたい」という意欲に応える通年制の講座を開講。「京都学」や自然体験、スマホ活用術などさまざまなコースが準備されています。
サークル活動
シニアの自主的なサークル活動やその立ち上げをサポート。現在は、文化・スポーツ・ボランティアなどのジャンルで79のサークルが活動中。
シニアボランティアバンク
ボランティア活動を希望するシニア個人や団体と、支援を求める団体や地域の人々をつなぐ役割。活動に必要な知識を学べるセミナーも開催。
問い合わせ
京都SKYセンター=TEL:075(241)0226
京都市の主な取り組み
京都市ではフレイル予防にもつながる、シニアのためのさまざまな施策を実施。
❶老人福祉センター
市内17カ所に設置され、イベントや講座などを開催。趣味などの同好会に活動の場の提供をするほか、シニアの生活・健康などの相談にも応じています。
❷健康長寿サロンの設置助成
シニアのための健康体操や交流会などを行う場を「健康長寿サロン」とし、運営する地域住民や団体に費用の一部を助成。
❸いきいきシニアポイント
65歳以上を対象にした、地域活動や「通いの場」に参加するなどの〝健康づくり活動〟を実践するとポイントがたまり、プレゼントに応募できる制度。
❹知恵シルバーセンター
楽器演奏やフラダンスなど、長年の経験や知識を生かしたいシニアの団体と、シニアの力を借りたい団体をマッチングさせる取り組み。
問い合わせ
健康長寿のまち・京都推進室健康長寿企画課=❶❷❹ TEL:075(222)3488、❸ TEL:075(222)3419
(2025年9月13日号より)
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