暮らしに役立つ数学

2025年7月25日 

リビング編集部

学生時代、「数学を勉強して、何の役に立つの?」と思った人もいるのでは。実は数学の考え方は身の回りのさまざまな物に使われています。そんな〝身近な数学〟を集めてみました。

イラスト/オカモトチアキ

小学校で学ぶ算数を含む、数・量・図形などに関する教科である数学。

「数学は普段使う製品や仕組みに活用されています。ないと困る空気のようなものです」とは、京都産業大学理学部学部長の牛瀧(うしたき)文宏さん。例えば、建築物の骨組みには、三角形が重用されているそう。三角形には三辺の長さを決めると形が定まるという性質があり、変形しづらく丈夫だからなのだとか。

また、暗証番号には数学の「場合の数」の考え方が。4桁の数字で一万通り、6桁の数字で百万通りの組み合わせになり、被りづらい暗証番号が作れるのだといいます。

数学の考え方を使えば課題を解決できることも。

「例えば、リレーの選手をどう選ぶかという課題の解決策の一つが、タイムの平均値や分布を比較することです」

数学的な思考は、物事の捉え方のコツとしても役立つとか。「例えば、〝定数〟と〝変数〟。数学で定数とは値が変化しないもの、変数とは値が変化するものを指します。これを日常生活に当てはめて考えてみると、課題を解決する一助となります」。

例を挙げると、夫と喧嘩(けんか)をしてしまったときは、過去の行動を「定数」、今後の言動を「変数」と捉えます。変えられないことを悔やむより、反省を生かし、より良い対応をとることが大切だと考えるというものだそう。

その他、数学の計算が役立つ場面や、数学の考え方が活用されているものについて、牛瀧さんに教えてもらいました。

教えてくれた人

京都産業大学理学部
学部長
牛瀧文宏さん

通常価格が同額の場合、30%オフがさらに20%オフと、50%オフ。割り引き額は同じ?

この場合、同じ値引き額にはならないといいます。

「通常価格が1000円だと、『通常価格から30%オフの20%オフ』は、1000円×0.7×0.8で560円ですが、『通常価格から50%オフ』は、1000円×0.5で500円なので、『通常価格から50%オフ』の方がお得ですね」

通常価格から20%引きと、20%ポイント還元。実際はどちらのサービスが得?

「この場合、通常価格から20%引きの方がお得です」と牛瀧さん。

「100円が20%オフになると、100円×0.8で80円。20円得したことに。100円の20%ポイント還元だと、その場でポイントを使えるとして100円×1.2で120円の商品が購入できる計算です。この場合、実質的な割引率は20円÷120円=0.166…となり、約17%なので、20%値引きの方がお得です」

通常価格から20%引きは、25%ポイント還元で同じとなるそう。

ホールケーキを5人で分ける方法

5人でホールケーキを食べるとき。カットするのが難しいですよね。そんなときも、次のようにするとほぼ5等分できるそう。

①まず直径の半分まで切り込みを入れます(右下図の赤い直線)。次に右側の直径の3分の1のところで中心に向かってカット。左側も同様に切ります。これで2人分です」

②次に、カットした一切れが奥の正面に見えるようにケーキを回転させ、中心から手前にまっすぐカット。

③最後に②と同じ方向にもう一回転させて同様に切ればほぼ5等分に。

おまけショートケーキを横にカットし、2人で分けるには

ショートケーキを横にカットする場合、半分のところで切ると上の人が損になるそう。

「ホールケーキを8等分にしたケーキなら、半径の4分の1あたりのラインで切るとちょうど良いですよ」

新幹線が二人席と三人席を配置するメリット

二人席と三人席で分かれる新幹線の座席は、どんな人数の集団でも一人になる人がいないように座れるそう。

「これは2以上のすべての整数は、2の倍数と3の倍数の和で表すことができるためです」

例えば、4人の場合は2人席が2個で、3人席が0個。7人の場合は、2人席が2個と3人席が1個となります。

黄金比と白銀比

黄金比

白銀比

人間が美しいと感じる比率といわれる、「黄金比」。1対(1+√5)/2(1.618…)のことを指します。

「黄金比は、西洋の建物や作品でよく見られます。ピラミッドの高さと底辺の一辺や、ミロのビーナスの下半身と身長、モナリザの顔の横と縦の長さなどが挙げられます」。クレジットカードなど、身近な製品でも使われているそう。

一方、日本では1対√2(1.414…)の比率である「白銀比」が重宝されてきたといいます。「法隆寺の一番上と、一番下の屋根の幅の比率や、A4、B4などの紙のサイズ規格にも使われています」。白銀比は長い方の面を半分に折っても同じ比率を保つため、印刷時に拡大や縮小がしやすく、効率的なのだとか。

小学2・3年生以上におすすめ
〝数学力〟をアップさせるゲーム

子どもが数学に強くなるうえで、大事なこととは。

「小学生の間に、足し算や引き算、九九などの掛け算、割り算の計算にいかに慣れておくかが重要だと思います」と、牛瀧さんは話します。

「特に九九がスムーズに言えると、その後の分数の計算が早くなったり、因数分解にも役立ちます」

小学校2・3年生頃から、身近にある数字で10を作る左記の遊び「メイクテン」や、「分解九九」「指算」を、日常にゲーム感覚で取り入れるのがおすすめなのだとか。

11~14の数字を両手指を使って、足したり掛けたりするもの。

例えば、12掛ける13の場合。左手に12の一の位の2を表す指、右手に13の一の位の3を表す指を用意。一の位は左手の2と右手の3を掛け合わせた6に、十の位は左手の2と右手の3を足した5に。百の位の1をあわせて、156となります。

13と14の場合は、一の位が3掛ける4で12になるため、一の位を2として、十の位に1を足します。

ナンバープレートや定期券、電話番号など、身近にある数字から選んだ四つの数字を使い、足し算や引き算、掛け算、割り算で10を作る遊び。

数を九九の式に分解するゲーム。

(2025年7月26日号より)