今も活躍し続けています 〝昭和なモノ〟たち

2021年4月16日 

リビング編集部

4月29日は〝昭和の日〟。ということで、今回は〝昭和なモノ〟にフィーチャー! 現在も活躍する昭和生まれのモノ、その魅力や今に至るまでのストーリーとは?

キャラクター、アイテム、食べ物など、バラエティー豊かな〝昭和なモノ〟が紙面に勢ぞろい。誕生当時のままの姿で活躍し続けていたり、時代とともに進化していたり…。最近また注目が集まっているケースもあるようです。

時代が平成、そして令和へと移った今も、まだまだ現役。そうして長年人々に愛される秘密や、それぞれのこだわりに迫ってみました。

京都府内で現在も大切に使い続けられているモノも紹介。昭和世代には懐かしく、若い世代にとっては新鮮に感じるのでは。

ゲーム界の名もなき主人公が世界の人気者へ

©Nintendo
「マリオカート」「マリオパーティ」など、たくさんのゲームで活躍するマリオ

赤い帽子にひげがトレードマークのゲームキャラクターといえば、そう、「マリオ」!「スーパーマリオブラザーズ」(任天堂)は昨年35周年を迎えましたが、初登場は40年前の昭和56(1981)年。アーケードゲーム(業務用ゲーム機)の「ドンキーコング」において、名もなき主人公としてお目見えしました。「ファミリーコンピュータ」に始まり、「ゲームボーイ」「NINTENDO 64」…。さまざまなゲーム機の発売もあり、マリオは世界の人気者になったのです。

シャッターを押す瞬間の大切さをあらためて

撮影領域を拡大させたモデルや水中に対応したモデルなど、これまでに100種類以上が発売された「写ルンです」

まだまだカメラが高級品だった時代。昭和61(1986)年に生まれたのが「富士フイルム」のレンズ付きフィルム「写ルンです」。最近はこちらを使って撮った写真をデータ化してSNSにアップするなど、10~20代を中心に話題となっているとか。フィルム独特の風合い、限りある枚数、現像して初めて写真が見られるまでのわくわく感。そうした魅力が、デジタル世代の心をつかんでいるようです。

ひみつ道具をポケットに、夢を届けて50年以上

村上 隆《あんなこといいな 出来たらいいな》(部分)
Ⓒ2017 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. © Fujiko-Pro

「ドラえもんがいてくれたら…」。多くの人が、一度はそんなふうに思ったことがあるのでは? 藤子・F・不二雄さんが描く「ドラえもん」は、「小学館」の学年誌で昭和45(1970)年1月号に連載がスタート。〝ひみつ道具〟をポケットに、50年以上変わらず夢を届け、大切なことを伝え続けてくれています。

「京都市京セラ美術館」では、7月10日(土)~9月5日(日)に「THE ドラえもん展 KYOTO 2021」を開催。下の作品のような、28組の現代アーティストが生み出した「ドラえもん」に出会えますよ。

日本生まれの洋食、4月29日が記念日に

トマトケチャップで知られる「カゴメ」により、4月29日が「ナポリタンの日」に

昭和の日・4月29日は「ナポリタンの日」でもあるんです。昭和生まれの日本の洋食・ナポリタンを盛り上げるため、2018年に制定されました。ウインナーソーセージやタマネギなどの具材とスパゲティを、たっぷりのトマトケチャップで絡めて―。昔ながらの味を求め、趣ある純喫茶を訪ねてみるのもいいですね。

江戸時代創業の傘問屋による発明品

「ホワイトローズ」のビニール傘「花かしげ」(1万2100円)。
同社では〝透明〟の利点を生かして、ハンディのある人や高齢者を守れるような傘を作っています

ビニール傘が実は日本が発祥だとは、あまり知られていないかも。誕生したのは昭和33(1958)年のこと。浅草にある江戸時代創業の「ホワイトローズ」9代目社長・須藤三男さんが、進駐軍が持ち込んだ素材〝ビニール〟に目を付けて開発しました。画期的な発明でしたが、当初は傘業界から異端視されたそう。転機は昭和39(1964)年の東京オリンピック。アメリカ人バイヤーに注目されて世界進出を果たし、国内にも広まりました。

運命を左右するマス目には時代のエッセンスが

初代「人生ゲーム」(現在は7代目を販売中)。
「逃げたサーカスの象をみつける」「金鉱発見」といった、アメリカ直訳ならではのマス目も

ルーレットに委ねた人生は、波瀾(はらん)万丈!?

昭和43(1968)年、初代「人生ゲーム」が「タカラトミー(当時:タカラ)」から発売されました。ベースとなったのは、その8年前にアメリカで生まれた「THE GAME OF LIFE」。勝敗は運次第、大人も子どもも関係なく競えるゲームは多くの人を夢中に。これまで66作品が作られました。現在7代目のスタンダード版「人生ゲーム」は、初代を踏襲しながらも3代目からは日本オリジナルのマス目となり、「人工知能で資産運用」など現代ならではのものが登場しています。

魚を生かした日本オリジナルのソーセージ

パッケージが開けやすいよう工夫された「マルハニチロ」の「1秒OPENおさかなソーセージ70g4本束」(希望小売り価格346円)

昭和10(1935)年、農林水産省水産講習所の教授が作ったのが始まりといわれる魚肉ソーセージ。コロッケ1個が5円という戦後の時代は、1本30円と貴重な食べ物でした。マグロやクジラに代わって白身魚の冷凍すりみが使われるようになると、生産が拡大。業界全体の生産量は、昭和47(1972)年に18万㌧を超えてピークとなりました(※)。その後は生産量が落ち込むものの、近年はヘルシー志向の面から再注目されています。

※「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」の統計データより

昭和の時代から、今も大切に―。使われ続けているモノたちを求めて、京都府内の各所を訪ねました。

ファンが集まるラーメンやうどんの自動調理機

隣の食堂で手作りしたラーメンやうどんがセットされている自動調理機。ラーメン、うどん各250円
ゲームコーナーには都はるみさんの「北の宿から」、山口百恵さんの「横須賀ストーリー」といった昭和歌謡が聞けるジュークボックスも

お金を入れて待つこと27秒…、温かいラーメンが完成! 舞鶴市の国道178号沿いにある「ドライブインダルマ」。こちらでは自動調理機が健在。全国でも珍しいラーメンやうどん、ハンバーガーなどの機械が並びます。同店の谷口美津子さんによると、昭和46(1971)年の開業から1年後に設置されたとのこと。「常連のドライバーさんはもちろん、これを目当てに来る若い人もいてうれしいですね。これからも手入れをしながら使い続けていきたいです」

重厚感あるアメリカ製のレジスター

「金額表示は『YEN(円)』だけでなく『SEN(銭)』と書かれています」と話す杉山さん

四条通から新京極通を北へすぐ。洋食や昼飲みが人気の「京極スタンド」は、建物も内装も昭和2(1927)年の開店当時のまま。昭和初期にタイムスリップしたかのような雰囲気の中、重厚感あるレジスターがひときわ目を引きます。「アメリカからの輸入品で、開店時からあります。高級品を思い切って買ったみたいですね。お金入れとして今も使用しています」と、同店の杉山貞之さん。数字のほかに並ぶアルファベットのボタンは、レジ担当者の名前を表すためのものだそうです。

人々を魅了するLPレコードの音の響き

コレクションのLPレコードを見せてくれた堂山さん。同店ではレコードを聞きながらコーヒーやお酒が味わえます

「やはりウッドベースの響きが違うんですよ。レコードはアナログだからこその味があります」。熱く語ってくれたのは、地下鉄「椥辻」駅近くで弟の吉川学さんとともに「ミュージックサロンYOSHIKAWA」を営む堂山哲さん。LPレコードは昭和26(1951)年に日本で初めて輸入販売。堂山さんのLPレコード収集歴は18歳のときから約50年で、その数は3000枚に上るとか! 「手入れをする時間も楽しみ。存在感のあるジャケットもファンにはたまらない魅力です」

(2021年4月17日号より)