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どうにかしたい、健康寿命

年をとっても、イキイキと元気に毎日を過ごしたいもの。近年、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間を意味する〝健康寿命〟という言葉が注目されています。ですが、京都府民の健康寿命は他府県と比べて長いとはいえません。府民が健康寿命をもっと延ばすために知っておきたいこと、できることとは?

ランキングを健康への意識を高めるきっかけに

教えてくれたのは…

先生

京都府健康福祉部 保健医療対策監 渡邊能行さん

今年3月、厚生労働省が発表した最新の都道府県別健康寿命ランキングで、京都府は男性が28位(71.85歳)。女性は44位(73.97歳)と下から3番目! 男性1位の山梨県(73.21歳)や女性1位(76.32歳)の愛知県と比べると、2~3歳の差があります。

一方、2017年発表の京都府の平均寿命は男性が3位(81.40歳)で、女性は9位(87.35歳)。平均寿命のわりに健康寿命が短い、つまり不健康な期間が長いということが分かります。

京都府健康福祉部保健医療対策監の渡邊能行(よしゆき)さんは、この結果について次のように説明してくれました。

「厚生労働省が発表している健康寿命は、国民生活基礎調査の自記式アンケートを基に算定したものなので、主観に左右される面があります。回答者が健康状態をシビアに見ていると、順位が低くなる可能性も。順位だけを気にしすぎず、健康づくりを意識するきっかけにしてもらえれば」

〝生活習慣病の予防〟がカギ

京都府が、より客観的な指標としているのが、要介護度2以上の介護保険認定者数から算定した平均要介護期間。京都府民の平均要介護期間は、男性1.93年、女性4.02年(2014年度きょうと健康長寿・未病改善センター算定、推定値)です。

「背景には、生活習慣病の増加があります。健康寿命を延ばすには、減塩、野菜不足の改善、運動習慣の定着といった健康的な生活習慣の確立が必要。特に女性は、骨粗しょう症やロコモティブシンドローム(※)の対策も必須です」

居住地によっても課題が異なるそう。

「京都市は医療機関に恵まれていますが、がん検診の受診率は低いというデータがあります。府内、特に北部の多くの地域では、健診の受診率は高いのですが、車での移動が多いため、運動量が少ないのが課題。まずは健診などで健康状態を把握し、血圧が気になるなら減塩に取り組む、歩数が不足しているなら増やすというように、弱点や足りない部分を改善していくことが大切です」

※通称ロコモ。骨や関節、筋肉などの運動器の衰えが原因で、歩行などの日常生活が困難になる状態のこと。進行すると要介護や寝たきりになるリスクが高くなります

トップクラスの県、その理由は?

健康寿命ランキングで男性1位(73.21歳)、女性3位(76.22歳)だった山梨県、男性3位(73.06歳)、女性1位(76.32歳)だった愛知県に、高順位の理由として考えられることを聞いてみました。

山梨県
「がん検診や特定健康診査の受診率が全国でも上位。県民の健康意識の高さによるものと考えています」と担当者。加えて、「65歳以上の有業者の割合が高いこと」や「日照時間が長く、過ごしやすい気候風土」も要因と想定しているそう。「山梨には仲間同士で定期的に集まって食事をしたり飲み会をしたりする〝無尽〟という風習があります。コミュニケーションの機会が多いことも関係しているかもしれません」
愛知県
同県では、1987年から「健康づくりリーダー」と呼ばれる地域ボランティアの養成に力を入れてきたそう。リーダーたちは各地区で自主的に活動し、体操教室や健康づくりのイベントなどを開催。県の担当者は「身近にいる健康づくりリーダーに呼びかけられることで、やる気が起こりやすいのでは」と分析します。ほかに、農業や工業が盛んで、働いている高齢者が多いという背景もあるのだとか。

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