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試写室・劇場から

ミュージカル「レ・ミゼラブル」

9月2日(土)〜15日(金)、大阪フェスティバルホールにて公演

(写真提供/東宝演劇部)

初演から30年、色あせることのない〝愛と赦し〟の大作

ミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」が、日本初演から30周年を迎えた。貧しさから一切れのパンを盗み、19年もの囚人生活を送って仮釈放された男ジャン・バルジャン。彼の波乱に満ちた人生を主軸に、その背後にあるジャベール警視のしつような追跡、革命を目指す学生たち、若者の恋などが、歌と演技で構成されていく。壮大な舞台装置の迫力や一体感のある重厚さで、30年間色あせることなく、多くの観客の心を捉えてきた〝愛と赦(ゆる)し〟の大作。

今回、3人の俳優が、主人公を交代で演じているが、記者が観劇した日は、確かな歌唱力と演技力に定評のある福井晶一。特に、その品格を感じるたたずまいと、養女コゼットの恋人・マリウスのために、戦場で神に祈る「彼を帰して」の歌唱は秀逸である。

また、若者たちが市街戦の中で見せる、ゆるぎない覚悟と生きざまも、悲しくもいさぎよく、見ごたえがある。「夢やぶれて」「民衆の歌」など、誰もがどこかで一度は耳にしたことのある名曲も堪能できる。

(文筆業 あさかよしこ 

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