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水にまつわる京都のハナシ

水の豊かな街として知られる京都。この水をキーワードにした、さまざまなニュースを紹介します。観光や環境といった分野で、水は欠かせない存在です!

歴史の流れを感じられる「琵琶湖疏水通船」が、来春復活します

明治時代、琵琶湖の水を京都に引くために造られた人工運河・琵琶湖疏水。当時は、旅客や貨物を運ぶ船も行き交っていましたが、交通網の発達とともに1951年にその姿は消えたそうです。

それから70年近くたつ来年の春。蹴上・大津間を結ぶ「琵琶湖疏水通船」が本格的な事業として復活することに。観光船として、再び、多くの人がこの“疏水の旅”を楽しむことができるのです。復活に向け、3年前から春と秋にテスト運航が実施されていたので、乗ったことがある人、見たことがある人もいるかもしれませんね。

運航予定は1日9便。ガイドスタッフも乗船し、琵琶湖疏水の歴史や沿岸の見どころを紹介してくれるのだとか。


右手に見えるレンガ造りの建物「旧御所水道ポンプ室」の前が蹴上の船の発着所。中央に見えるトンネルを進んでいきます



歴史的な産業遺産を間近で見ることができるのが魅力と話すのは、同事業に関わる京都市上下水道局の千原啓太郎さん。

「コース中の第1・第2・第3トンネルの出入り口には『扁額(へんがく)』と呼ばれる、文字が刻まれた石板が掲げられています。この文字は、伊藤博文など明治を代表する政治家らが書いたものなんですよ」

蹴上からの上りコースの運航時間は約35分、大津からの下りコースの運行時間は約50分。大津の船着き場から船に乗り込み、当時、日本最長だったという全長2.4kmのトンネルを抜けるとそこは山科。日本最初の鉄筋コンクリート橋である第11号橋などが残っているほか、「春にはサクラとナノハナの共演も楽しめます」(千原さん)。


「琵琶湖疏水は、東京遷都により衰退した京都の産業を復興させようと計画されたといいます。そんな歴史の重みも感じてもらえたら」と京都市上下水道局の阪倉渉さん(左)と千原さん

ふるさと納税などを活用して新たに造られる観光船。屋根付きで旅客定員は12人です ※画像はイメージ

〝雨庭(あめにわ)〟が排水をコントロールし、植物を育成

「こちらが〝雨庭〟です」と、京都学園大学バイオ環境学部教授の森本幸裕さんに案内されたのは、同大学京都太秦キャンパスの中庭。畳6枚分ほどの広さに、枯れ山水庭園のように岩を山に見立てた〝築山(つきやま)〟が設置されています。その裾には、池を思わせる小石や砂利を敷いたスペースも。


森本さんの足元の砂利が広がるスペースと、「枯山水軸」と名付けられた後方に延びる通路が〝雨庭〟。ここに雨水が流れ込みます



〝雨庭〟とは、アスファルトの地面や屋根などに降った雨水を一時的にくぼ地に流し込んでため、ゆっくりと地中に浸透させる仕組みを持つ庭のこと。この庭には、雨水が一気に下水道に流れ込み、あふれ出すことを防げるメリットがあるそう。

前述の砂場のようなスペースも、雨が降れば数日は水をたたえ、ゆっくりと周囲に浸透させていくと森本さんは話します。

京都駅ビルに2012年から設置されている「緑水歩廊(りょくすいほろう)」は〝ビル型雨庭〟。こちらも森本さんが監修

「このスペースは、近くにある双ヶ丘(ならびがおか)や伝統的な庭園をイメージしています」とのこと。京都で多くみられる枯れ山水庭園には、豪雨時の排水機能を持たせる工夫が盛り込まれており、それを意識したそうです。

「都市ではこれまで路面をコンクリートで固め、排水する治水対策を行ってきました。その結果、雨水が一気に河川に流出し、下流の洪水のリスクを高めます。また湿地や草地の消失とともに、フジバカマやキクタニギクといった植物の絶滅も危惧されます。当キャンパスでは、雨庭を設置することで、そうした京の文化になじみ深い植物を育てる環境も保持できます。雨水をそのまま流せば下水に、うまく使えば資源になるのです」

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