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試写室・劇場から

中村橋之助改め八代目中村芝翫襲名披露「壽初春大歌舞伎」

1月26日(木)まで大阪松竹座にて公演中

©松竹

親子四人、同時襲名披露の妙 初心者も魅了する「勧進帳」

中村橋之助が八代目中村芝翫を襲名。さらにその息子たち三兄弟が、それぞれ四代目橋之助、三代目福之助、四代目歌之助を襲名。1月の大阪松竹座は、この珍しい親子四人の同時襲名披露に加え、坂田藤十郎、片岡仁左衛門ら重鎮たちが圧巻の演技で魅せる〝絢爛豪華〟な初春大歌舞伎となった。

昼の部は、「吉例寿曽我」「梶原平三誉石切」「新口村」。夜の部は、「鶴亀」「口上」「勧進帳」「雁のたより」と、見どころの多い演目が並ぶ中、歌舞伎初心者にとっても十分に楽しめるのは、屈指の人気演目「勧進帳」。

兄・頼朝から逃れるため、平泉に向かう義経(魁春)・武蔵坊弁慶(芝翫)・四天王(三兄弟ら)一行と、安宅の関の関守・富樫左衛門(仁左衛門)との息をのむような命がけの対峙(たいじ)。忠義心、意気に感じる男の美意識など、日本人の大好きな美学を、十分に堪能することができる。

芝翫のスケール感とキレのある華やかさ、三兄弟の新鮮さなど、みずみずしく頼もしい舞台である。

(文筆業 あさかよしこ 

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