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試写室・劇場から

クリーピー 偽りの隣人

6月18日(土)からMOVIX京都、T・ジョイ京都で公開

©2016「クリーピー」製作委員会

なぞめいた隣の一家から、じわじわと迫る恐怖の波動

暑いときはホラーだ、スリラーだという方におすすめしたいのがこれ。ありふれた日常が異常と化してゆく怖さ、正体のわからない人間に巣食う闇の深さがじっくりと描き込まれ、背筋に冷たいものが何度も走った。

主人公の高倉(西島秀俊)は、ある事件がもとで刑事をやめ、大学で犯罪心理学を教えている。妻の康子(竹内結子)とともに新しい場所に引っ越してきたところ、隣に住む西野(香川照之)という人物の言動がおかしいことに気づく。妙になれなれしかったり、そっけなかったりと一貫性がない。そんなある日、元同僚から未解決事件の話を聞いた高倉は…。

日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の原作「クリーピー」をもとに、コワ~い映画お得意の黒沢清が脚本と監督を兼任。クリーピーとは、身の毛がよだつような気味悪さを意味し、どんどん加速してゆくスリルと、「え、え、どうなるの?」という意外性のある展開に引き込まれる。脇役として東出昌大、藤野涼子ほかみごとな配役だが、特に香川照之の怪演に注目した。このようなワケのわからない隣人を持つと、平常心を持ち続けるのはかなり難しいのではないかと思う。結末に関しては、いろいろ賛否両論があると思うけど、見た後の充足感はなかなかのもの!

(ライター 宮田彩未 

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