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試写室・劇場から

ブラック・スキャンダル

1月30日(土)からMOVIX京都、T・ジョイ京都ほか

©2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., CCP BLACK MASS FILM HOLDINGS, LLC, RATPAC ENTERTAINMENT, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

三者三様の男たちによる闇社会のとんでもない裏舞台

いろいろな役に挑戦してきたジョニー・デップだが、この映画の彼には目をみはった。実在したギャングのボスを演じており、情け容赦のない冷酷さ、背筋をぞくっとさせるようなまなざしが怖い。ギャングとFBIと政治家が裏で結び合い、アメリカ史上最悪といわれたスキャンダル、その実態に迫った見ごたえのある骨太ドラマである。

アメリカの南ボストン、幼少時からきずなを育んできた3人の男。地元での勢力拡大を図ろうとするギャングのバルジャー、野望を抱くFBI捜査官のコノリー、バルジャーの弟で州上院議員のビリーは、異なる世界で頭角を現し始めていた。だが、バルジャーに情報屋にならないかとコノリーが話を持ちかけてFBIとギャングの密約が固まり、彼らは後戻りできない境地へと至る。

狂気をはらんだデップはもちろんだが、ジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチの渋い演技にも注目してほしい。どこかで掛け違った人生のボタン、その影の濃さと哀愁を強く感じさせる。そして、権力を握りたいという男たちの欲望が押し動かすものの内にある無常、それはこの映画に描かれている特殊な世界だけではないのだとも思うのだ。監督はスコット・クーパー。15歳未満は観賞できないR15+指定。

(ライター 宮田彩未 

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