ホーム > > 特集:社会・生活 > 消費税増税、その後

消費税増税、その後

消費税が5%から8%に引き上げられて、約5カ月。あなたの生活や意識には、どんな影響や変化がありましたか? 読者のアンケートをもとに、ファイナンシャル・プランナーが家計のやりくりのポイントをアドバイスしてくれました。

8%になって変わったことは?

家計への影響を〝見える化〟し、節約は目標を立てて計画的に

「価格表示が税抜きになり、安いと思い違いをして会計時にビックリすることがある」(TT・40歳)、「店によってレシートが税抜き・税込みのところがあるので、家計簿が付けにくくなった」(KS・45歳)

読者は8%という税率や価格表記の“わかりづらさ”に戸惑いを感じているよう。

「食品や日用品は148円や178円といった中途半端な税抜き価格が多く、店頭でひとつひとつを正確に税込み価格に計算するのは大変です。

そういう場合は、1円単位を切り上げるか、消費税を10%と換算し、それよりちょっと安めと考えてみては。1円単位、1銭単位の誤差は生じますが、まずは“ざっくり”把握することを心がけて」と、ファイナンシャル・プランナーの金森茂也さん。「大切なのは、目先の1円、2円にとらわれず、家計全体という大きな視野で増税の影響を認識することです」

例えば、1カ月の手取り収入が30万円で、消費税が課税されない支出(貯蓄、家賃、医療費、保険料、お小遣いなど)が10万円とします。差額の20万円が消費税の影響を受けることになり、増税分の3%を乗せると、1カ月6000円の負担増に。

「この増税分を節約するとしたら、年間7万2000円、週で約1500円と、長期・短期の視点で考えるのもポイント」とのこと。

「客観的な数値をこのように“見える化”し、削減目標を明確にしておくことで、やりくりの計画が立てやすくなり、努力した成果も見えてくるので、節約が継続しやすくなります」

その節約の実践を増税後の変化として挙げた人も多数。方法は、「特売日にまとめ買いをする」(ゆさた・50歳)、「節電・節水に気を配るようになった」(チェリー・40歳)、「光熱費カットのため、冷蔵庫の詰め過ぎを解消」(NC)など、さまざまです。

「節約効果が高いのは、通信費、光熱費、保険料などの固定費。家族の使用状況に合った料金プランへの変更や、加入している保険の見直しなども検討してみては。

家計簿やレシートなどをチェックして、“ムダ遣い”の傾向を把握すると、節約すべきポイントも見えてきます」

金森さんより
「4月以降、3%の増税分以上に、モノの値段が上がっている傾向が見られます。その背景には、近年の円安や物価上昇、デフレ経済からの転換といった要因があると考えられ、家計にとっては増税とのダブルパンチ状態。今後、価格上昇によって消費が冷え込めば、需要を刺激するための手だても考えられると思います」

今、心がけていることは?今後のための心がまえは?

増税をきっかけに、〝節約体質〟になるトレーニングを

来秋には10%への消費税増税が予定されており、「今でも高くなったと感じているのに…」(Michi・54歳)、「これ以上、どう節約すればいいのか」(MK・57歳)との声が。 「今回の増税の経験を、家計のやりくりや節約意識を高めるトレーニングの機会として生かしましょう」と金森さん。
読者が4月の増税のために準備したことも、“節約生活”や来年予定されている増税時に役立つこともありそうです。

例えば、増税前の「まとめ買い」。購入したものは、「消費期限のない化粧品やトイレットペーパー」(ひろ・53歳)、「保存期間が長い食品」(kyoko66・40歳)など。
買ってよかった、やっておいてよかったものとしては、「家電製品」「自動車」「リフォーム」といった高額商品が目立ちました。

一方、「増税後のほうが、安い商品があった」(ともま・35歳)、「ストックがあると思うと、気が大きくなって使う量が増えてしまった」(りのあやママ・53歳)との意見も。中には「増税後は、家計応援などのセールがあると思い、買いだめしなかった」(でぐじゅん・45歳)との意見もありました。

このような“買う”“買わない”は、どのように選択すればいいのでしょう。

「基本は、“必要な時に、必要なモノ”を買うことです。家電製品などは新商品ほど省エネ性能が向上しているので、長期的に見ると節約につながることもあります。増税前の“駆け込み”の風潮に惑わされず、まず冷静になって、しっかり吟味してから購入することをおすすめします。

将来の漠然とした不安にとらわれず、まず今の家計の支出構造を把握して、見直すべきところやムダな支出をチェック。そのためには、日ごろから毎日の支出をざっくりとでも記録しておくことが重要。固定費の見直しにしても、面倒くさがらずに“行動する”ことが、“節約体質”への第一歩です」

金森さんの言葉を実践している読者も。「節約する方法を常に探している」(DT・48歳)、「本当に必要なものかを考えるようにしている」(TM・43歳)という人もいましたよ。 また、雇用が改善状況にあるので、働き方を見直して収入を増やすのもひとつの方法とのことです。

金森さんより
「現在、品目によって税率が変わる軽減税率の導入が検討されていたり、増税前後には経過・軽減措置などが実施されたりします。普段から、テレビや新聞、インターネットなどで今後の動向に関わる情報のチェックを。買い物時は今回の増税後の価格推移や、各店舗の価格帯に気を配るなど、情報に翻弄(ほんろう)されるのではなく、賢く見極めるための〝アンテナ感度〟も磨くよう心がけておくといいですね」
話を聞いたのは
金森茂也さん
日本FP協会 京都支部所属会員
ファイナンシャル・プランナーとして、個人のライフプランニングに応じた資金計画をアドバイス

ピンチをチャンスに!賢く、楽しく、家族で節約を

「節約というと、まず食費やお小遣いから手をつけがちですが、家族の健康やモチベーションに関わる支出はなるべく後回しにしたいもの。
家計の状況を明確にしたら、家族で情報を共有することをおすすめします。余裕のできたお金を貯蓄に回したり、外食や旅行に使うなど、目的や目標がわかっていれば、節約のやりがいや楽しみにもつながるのでは。
わが家流のアイデアと工夫で、賢く買って、上手にやりくりして、増税という家計のピンチをチャンスにしてください」

このページのトップへ