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茶道具などが並ぶ「古田織部美術館」オープン

「古田織部(ふるたおりべ)が大好き」。織部焼などで知られる茶人・織部の400回忌をむかえる今年、あるコレクターの思いがこもった私設美術館が北区鷹峯に誕生しました。昭和初期に建てられた生糸商人の山荘にある土蔵を改装、個性的な織部の世界にいざなう空間が演出されています。

展示台は茶室をイメージ

子どものころはお城めぐりが好きだったという宮下さん。「この土蔵の白壁が城壁のようで、武将茶人のイメージにぴったりだと思います」

美濃(岐阜県南部)出身の古田織部(1543~1615年)は、織田、豊臣、徳川に仕えた戦国武将ですが、“織部=茶人”とイメージする人が多いのでは?

「その当時の〝天下一の茶人〟となったのは60代になってからのことなんです。千利休が大成させた茶の湯を継承しつつ、大胆で自由な気風を愛し、茶道具から建築、庭園など幅広い分野で〝織部好み〟と呼ばれる流行を生み出しました」

そう話す宮下玄覇(はるまさ)さんは、織部にほれ込んで20年以上。これまでに収集した織部ゆかりの茶道具や関係する茶人の品々を紹介するのが、この「古田織部美術館」です。

美術館があるのは北区鷹峯。山荘の奥へと歩を進めると、美術館として使われる土蔵が見えてきます。入り口に見えるのは、古田家の家紋「三引両」。内部は2階建てになっていて、むき出しになった梁(はり)や柱など、土蔵の雰囲気はそのまま。お茶室をイメージしたという畳敷きの展示台をのぞくと、お茶席の作法〝床の間拝見〟のようです。

取材に訪れた日は、開館記念展示「古田織部とその周辺」の期間中。展示品の中には、緑色の釉薬(ゆうやく)がかかった焼き物の皿も。これが、“織部焼”なんですね。

「織部焼はもちろん、懐石料理の向付に使われる器を考案したのも織部なんですよ」。ほかにも、茶杓(ちゃしゃく)や釜など〝織部好み〟の茶道具が並び、土蔵にしまわれていた宝物を見つけたような気分が味わえました。

宮下さんは学生時代に手に入れた陶片にはじまり、これまで500点近くの作品を収集。

「ゆがみや抽象的な図案が特徴といわれる織部の作品は、思い付きで作られたものではなく、独特の美意識に基づいた法則があることに気づいて、さらに魅力が深まりました」

豊臣秀吉が寄進した「金銅菊桐透灯籠」(写真左奥)、「高麗乾漆虎枕」(同右)は、2階に展示

黒織部の茶碗。ゆがんだ形が特徴の一つです

美術館の1階。「織部の作品は、利休の好みより全般的に背が高い。織部は目立ちたがり屋だったのかもしれませんね」

夢は芸術で地域おこし

子どものころはお城めぐりが好きだったという宮下さん。「この土蔵の白壁が城壁のようで、武将茶人のイメージにぴったりだと思います」

収集と同時に、文献や歴史書をひも解き、史実の研究に取り組んできた宮下さんは、出版社業のかたわら織部研究がライフワークになっています。「織部の魅力を伝え、研究成果をもとにした正しい歴史を知ってほしい」とこの美術館開設を思い立ったそう。

館が位置する鷹峯は、織部の弟子のひとり、本阿弥光悦が芸術村を構想した場所。「地域の芸術家と一緒に、芸術を軸にした地域おこしのような取り組みをするのが夢なんです」

古田織部美術館=京都市北区大宮釈迦谷10-37、TEL:075(491)0666。午前9時30分~午後6時。入館料一般500円、中学生以下300円 ※「古田織部とその周辺」は6月15日(日)まで。この後、季節ごとに年4回の展示替えを予定。夏季展「織部好の風炉の茶道具」は6月21日(土)~8月31日(日)

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