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堀川団地の〝記憶〟がアートに

築60年以上になる堀川団地とアートがコラボ! 3月1日(土)からアートイベントが開催されます。
キーワードは〝記憶〟。その内容とは―。

店舗の青いテントが受付場所のある上長者町棟の目印

「記憶の倉庫」のイメージ

堀川通の西側、丸太町通から中立売通までの約600m間に立ち並ぶ3階建ての建物6棟。1階は店舗兼住居、2・3階は2Kの住居になっている建物が、堀川団地です。建設は昭和25年~28年にかけて。当時珍しかった都市ガスや水洗トイレといった設備をそなえていたため、近代アパートとして人気を博したのだとか。

老朽化が進む現在は、「アートと交流」を基本テーマにしたさまざまな再生事業が行われています。

住民の思い出がヒントに

「団地の住居内部は見どころのあるしつらえですが、今回のイベントは団地の見学会ではありません。住民が暮らす団地の一室で行うアートイベントなので、迷惑のかからないように配慮をお願いします」と谷澤紗和子さん、矢津吉隆さん

今回、京都市立芸術大学が主催するのが「記憶の倉庫」。若手アーティスト12人が企画運営するアートプロジェクト「City in Memory 記憶の街」の1つです。

プロジェクトは昨秋スタート。「団地の一室を借り、住民の方々と交流を重ねる中で、たくさんの思い出を聞かせてもらいました。その話を聞いているうちに、旅行先で買い集めたこけし、手作りの釣りざおなど、長年所有してきた物には持ち主の“記憶”が付いていると思ったんです」

若手アーティストの一人で、プロジェクトの広報を担当する谷澤紗和子さんはそう語ります。同じく矢津吉隆さんは、「そもそも、堀川団地には、戦後の復興や高度成長といった“記憶”が約60年の間に積み重ねられていますから」。

12人がアイデアを出し合い考えたアート企画は、「堀川団地という〝記憶の街〟を訪ねた観覧者が、住民から集められた物たちと出合い、観覧者自身の〝記憶〟と団地の持つ〝記憶〟が結びつけられる機会を提供するというものです」。住民から提供してもらった物は、「記憶の倉庫」と名付けられた一室に展示されます。

取材時、準備中の「記憶の倉庫」をのぞかせてもらうと、地蔵盆の調度品が入ったつづらが。思わず、懐かしい気持ちがこみ上げてきます。そして、初めて立ち入るこの団地の中にある物が、個人的な記憶とつながることに気づかされました。どんな物たちと出合えるのか楽しみですね。

開催は、3月1日(土)~23日(日)の木・金・土・日。午前11時~・正午~・午後1時~・2時~・3時~・4時~・5時~(各回約30分)。各時間帯定員7人。当日、受付(堀川団地上長者町棟=堀川通上長者町上ル)で先着順に受け付け後、係員が案内。予約不要、参加無料。問い合わせは京都市立芸術大学ギャラリーアクア=TEL:075(253)1509。
ホームページ(http://gallery-akcua.org/city_in_memory/)もチェックを。

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