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試写室・劇場から

かたき同士

4月26日(金)まで、大阪新歌舞伎座にて公演中

“子供かわいさ”が高じた母親同士の壮絶爆笑バトル

かたや年を重ねるごとに、その演技に深みと貫禄が加わり客を魅了する人。このかた、年を重ねても、持ち前のたおやかな美しさを失うことなくヒロインであり続ける人。

大女優といわれる人には、この二つのタイプがあることを、あらためて納得した気持ちのいい舞台である。前者は藤山直美、後者は三田佳子。この二人が、娘と息子の結婚を巡って、かたき同士となって対立する物語。

その日暮らしの庶民を相手に飲み屋の女将(おかみ)・かめ(藤山直美)は、自慢の一人息子・清太郎(金子貴俊)を医者にするべく、女手一つで育てながら、仕事に精をだす日々を送っている。

一方、橋をはさんだ川向こうの呉服問屋の女主人・お鶴(三田佳子)は、一人娘のお袖(小林綾子)に、旗本の三男坊・松下源之助(橋爪淳)を婿に迎えたいと願っている。

ところが、実は清太郎とお袖が恋仲であることが発覚! ここから二人の母親の壮絶なバトルが勃発することに…。

生まれや暮らし向きから生じる、考え方の違いがそうさせるのだが、どちらも、子供にかける愛情の深さゆえのこと。終わり近く、二人の母親がお互いに共感し合い、酒を酌み交わすうちに泥酔する様が、ことのほかおかしく、いとおしい。

(ライター あさかよしこ 

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